↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
翠憶を求めて  作者: ラーナ
PR
62/71

傍観者の記憶

全ての想いが繋がった時、止まっていた時間は動き出す

傍観者として。観察者として。


少女は彼女達を眺めてきた。


巫女の少女には、力がある。

それは、どれも人間離れしたような力ばかり。


少女に友人と呼べる存在は少ない。

自身が近寄りがたい雰囲気を持っているのは、少女も自覚していた。


だからこそ、彼女達の存在は興味深く、少女は傍観者として彼女達を見ていた。


小さな予感。


彼女達は少しずつ、その真実に辿り着こうとしている。


自分の元に現れる日も近いのかも知れない。


巫女の少女は既に傍観する立場では無くなってしまったのかもしれないと。


そんな予感。


だが、その真実はあまりにも彼女達の世界には残酷過ぎる。


「雨宮白。キミは何を想う?」


届かない言葉。それでも、少女はそれを呟いてしまう。


その呪いを解くために必要なその血を持つ少女の名を。


その呪いを解くために、彼女達が選ばなければならない道。


彼女達が目指すその世界。


巫女の少女は思案する。


誰一人欠けずにその世界を目指すと誓った彼女達の結論。


どのような答えを出したとしても。

巫女の少女は力を貸すだろう。


全てを知るのは彼女だけ。


だが、彼女にもわからない。


雨宮と戦う決意をした時、巫女の少女はアズマとクランは命を落とすと読んでいた。

敵地へと乗り込み、刺し違える物だと。


だが、翡翠の髪を持つ女性の提案で、その最悪の未来は回避された。


沼地の呪い。


鈴と瑠璃と過去に邂逅していた翡翠の少女。


自身も同じような呪いをかけられているというのに

何処までも他人を想うその優しさで、その呪いは解かれた。


何も力を持たない、優しさだけがその呪いを解いた。


自身の無力さに後悔し、罪の意識を持っていたアズマ。

そんな彼女に前を向かせたのは、もう一つの翡翠の色を持つ少女。


「ベル、そろそろ帰ろう」


沼地の一角に桔梗の花を添えていた唯一、巫女の少女を慕うその女性に声をかける。


本来なら有り得ない奇跡。

本来なら有り得ない筈の未来。


彼女達ならば。


この歪んだ物語に終止符を打てるのではないか。

優しい嘘の物語に終止符を打てるのではないか。


「ラーナさんには感謝しないといけないっす」


同じく傍観者として、常に隣にいてくれた彼女が優しく笑っていた。


「近々会えると思う」


彼女達がその世界を求めるのなら。


きっと、その未来は訪れる。


その真実に彼女達はどう立ち向かうのか。


この先の未来は、少女にもわからない。


いや、未来など誰にもわからない。


ただ、なんとなく。少女は感じている。


自分達が彼女達の前に姿を見せた時、本当に物語が始まるのではないか。


それは確信に近い、小さな予感。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。