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翠憶を求めて  作者: ラーナ
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白い雨の記憶

その世界はモノクロだった

不思議で、ドキドキするような出会い。


元々、私はアルビノと言う珍しい体質。

髪の毛は白くて、目は真っ赤……


そんな自分の見た目が、大嫌いだった。


鏡を見るのも嫌で、人に見られるのも怖くて


せめて目だけでも隠そうと、眼鏡をかけたり、前髪を伸ばしたりして誤魔化し続けて生きてきた。


幼い頃から、奇異な眼差しを浴び続けていたからなのか、

私だけ家族や親戚からその見た目の不吉さから迫害され続けて居たからなのか……


今となっては覚えていないけれど

気づいたら一人になっていた。


誰も信用できなくなっていた。


一人の方が、気楽だって……

そう言い聞かせるようになっていた。


ある日、アズマと名乗る女の子と出会った。

女である私から見ても、凛としていて、カッコいいなって思えるような佇まいの人だった。


でも……どうせ、またバカにするんでしょ?

どうせまた私を見て、ビックリするんでしょ?


怖くて、下を向いて、唇を噛みしめた。

道を尋ねられただけだから、大丈夫。

俯いたまま、震える声で道を教えた。


……瞬間、強い風で私の髪が靡いた。


その風は、きっと……今なら言える。神風だったんだと。


「え、嘘!? すっごい綺麗な瞳! そう言えば髪も真っ白だし、えっと、コレってアルビノってヤツ!?」


彼女の声に、ビクッと身体が震えた。

恐る恐る顔を上げると、アズマは凄く真剣な……そして、凄く優しい目で私の目を見つめていた。


社交辞令でもなんでもない一言なのは、すぐに理解出来るくらい

嘘のない……嘘が付けない人の目だった。


「あ、ゴメンね。ジロジロ見ちゃって……あたしってば可愛いモノ大好きだから、つい……」


テヘッと、わざとらしく自分を小突いた後、彼女は私に名前を聞いてきた。


「んと、その……雨宮、雨宮白って言います」


久々に名前を言った気がする。


「敬語なんていいよー! 白ちゃん! あたしと友達になってよ!」


見た目からして、もう成人はしているのだろうから、アズマの方が歳上だ。

私はまだ学生。だけど、そんなの関係ないと言ったアズマの言動は、私の頭を強く混乱させた。


「え、初対面……」

「実はこれから二人で遊ぶ予定だったんだけど、えへへー、ラーナも喜ぶぞー!」


本当に強引に……私を日陰から引き摺り出す人だと思った。

だけど、なんだかアズマと話していると心が暖かくなって……久しぶりに人の顔を見て話をした。


この人なら、信用出来る。意味もなくそう思わされるような、そんな人だった。


…………そのあと電話口のもう一人の待ち合わせ相手とやらに、『可愛い生き物を拾った』なんてフザけた言い方をされて、少し頭を抱えたけれど。


でも、そうやってラーナと出会って


流されるように

当たり前のように彼女達と友達になった。


アズマの……ううん。多分これはラーナの周りに集まった人達。

年齢も、職業もバラバラなのに彼女達は全員優しい人達だった。

ちょっと口が悪かったり、ちょっと変わってる人も居たけれど


皆、嘘のない人達だった。


付き合っていくうちに

……たった一つだけ、優しすぎる嘘に気付いてしまうのだけれど。


ラーナやアズマ達と仲良くなる流れで、ヴャクトと言う探偵と知り合った。


最初はよくわからない人だったし、正直怪しかった。

でも、アズマやラーナ同様に、何故だか人を惹き付ける力のある人で、

私は洞察力があるって言われて、助手としてたまに彼女の仕事を手伝うようになった。


主にヴャクトが暴走して変な事をしそうになるのを止めるような役割な気がするけど。


ヴャクトとの会話やその雰囲気は言葉遣いや立ち振る舞いは違うのに

何処かラーナと一緒にいるような、そんな気持ちにさせられていた。


私には、それが妙に引っ掛かってしまった。


ヴャクトは、フルネームを教えてくれない。

探偵だから、なんて誤魔化してはいたけれど……


「ヴャクトは……ラーナの……」


言及すると、ヴャクトは困ったような、少し悲しいような、そんな笑みを浮かべて


「大人の秘密!」


そう言って答えてはくれなかった。


……私にはよくわからない。ラーナに妹がいる事は知っている。だけど、お姉さんがいるなんて話は、ラーナからも、誰からも聞いたことはない。


多分、それは私が変に口出しをしてはならない事なのだろう。


ラーナやヴャクトの力になれないのは、凄くもどかしくて、悔しいけれど


せめて影から応援しよう。

せめてもの、ヴャクトの理解者でいよう。


ラーナやラーナの妹、リーノの事となると、たまに意味がわからないことをする人だけど、悪い人では無いから……。


えっと、多分……


悪い人じゃ、ないよね?


ヴャクトが暴走したら、私が止めよ……


静かに心に誓って、この思い出を記憶の一ページに。

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