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翠憶を求めて  作者: ラーナ
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19/71

翠に揺れる姉妹

小さな奇跡を大きな奇跡に

白姉と一緒に夜の街を歩いて、私は白姉の家に向かっていた。

白姉が隣りにいてくれると、夜も怖くなかった。


そんな道中で、私はりーのんや白姉の口から語られたラーナと言う人が気になって

どんな人なのかと白姉に問い掛けていた。


白姉から語られるその出会いのお話。

それは凄く優しくて、綺麗なお話だった。


「リーノからの受け売りって聞いて、納得」


クスクスと。私とりーのんのやり取りを思い出してか、そんな微笑みを浮かべていた。


白姉はラーナさんから笑顔の魔法の話は聞いていた。

だからあの時も、こんな風に優しく微笑んでいたんだと。


そんな話を聞かされた。


『何処までも優しくて、何処までも笑顔の似合う人』


一言で表すなら、それが一番わかり易いし、その一言で充分魅力は伝わると。


そんな風に白姉はラーナさんの事を説明した。


だから、その人のイメージとりーのんをなんとなく比べてみて


「んー、りーのんと似てるのかなぁ」


私は思った事を口に出していた。


「リーノも、同じくらい優しいと思う」


「りーのん、最初私を見捨てようとしたんだよぉ!?」


それがりーのんの本心では無いのもちゃんとわかってるし

そういう冗談だと言うのは理解しているけど


それにしたって、もう少し容赦があってくれてもいいじゃないかと。


そんな事を思いながら、白姉に反発してみる。


「そんな呼び方するからだと思う……」


呆れたように、白姉が頭に手を当てていた。


私のネーミングセンスを見事に否定され続けてちょっと悔しい。


「りーのんって呼び方、可愛くないかなぁ」


思わず自信が無くなって、そんな事を呟いてしまう。


「そういう問題じゃない……もう、バカ蒼」


そんな私の様子に白姉は

はぁ。とため息混じりに、小さく笑っていた。


「白姉、雨宮の家に居た頃より明るくなったよね!」


そんな姿を見て、思わずそんな事を口走ってから

自分で、マズい事を言ったのに気付いて

慌てて両手で口を塞ぐ。


考えてみれば、多分今の白姉の姿が本来の白姉の姿。

穢れた血なんて呼ばれて、迫害されて。そんな所で、明るくなんていられる筈がなかった。


「あぅ、ごめん……」


だから、すぐにそうやって謝罪の言葉を繋げた。


でも白姉はそんな私の姿を見て、いっそう可笑しそうにクスクスと笑って。


「ラーナに笑顔の魔法、かけられちゃったから。感情隠すの、下手になっちゃった」


その笑みは、あの事務所で、その言葉をした時にした微笑みだった。

本当に、その表情を見るだけで、こっちまで気持ちが温かくなるような微笑み。


それくらい白姉にとって、ラーナさんが大切な存在なんだって。

その笑顔を見るだけで伝わってくる。


「本当に奇跡まで起こるんだもん! すごい魔法だよねっ!」


私のその言葉に、白姉が目を丸くしていた。


「奇跡?」


「えっ、だって笑顔でいれば、小さな奇跡が一つ起きるって。そんな魔法だって、りーのん教えてくれたよ?」


そうして、私はりーのんから教わった魔法の内容を説明すると……


「そう……小さな奇跡」


少し悲しそうに。

でも、少し嬉しそうに。


そんな風に囁いて、私の頭を優しく撫でてくれた。


「蒼は、リーノの事、好き?」


そして、そんな事を急に訊ねてくる。


「ちょっと怖い所あるけど、大好きっ!」


偽りのない本心。

りーのんの何を知っているのかなんて言われても困っちゃうくらい

まだ付き合いは短いけれど。


私を白姉の所へ導いてくれたなんて理由もあるけれど。


私の一族の話を黙って聞いてくれていた。

私の事をどこまでも真っ直ぐと褒めてくれた。

私に笑顔の魔法を教えてくれた。


あの街では無かった、雨宮の一族に居たらきっと出会えなかったような

本当の本当に可愛い女の子。


「私も、ラーナの事が大好きだから」


そんな私の返事に、白姉はあの微笑みで。


「一緒に、頑張ろうね」


白姉のその言葉は、これからの生活。と言う意味だけでは無いような気がした。


私にはよくわからないけれど


「頑張るっ」


白姉が居れば、怖いものなんてない。


だから私は満面の笑みで

その言葉に強く頷いて、返していた。

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