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翠憶を求めて  作者: ラーナ
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17/71

髪飾りの欠片

その絆は、いつか取り戻せる大切な記憶

リーノの笑顔が消えてしまった時期がある。


何かリーノを笑顔に出来るような事はないか。


ずっと一日中考えていた。


そんな時。小さな露店が目に入った。


ショッピングモールの片隅。誰も目につかないような小さなお店。


なんとなく、リーノが喜ぶものでも売ってたら買って帰ろうと思って

そのお店に並ぶ品を見て


「これだぁ!」


一際目立つ大きなリボンが目に入って、思わず大きな声を出していた。


「お嬢ちゃんには、そのリボンは子供っぽ過ぎるんじゃないかねぇ」


店主のお婆ちゃんが、そんな事を言って、こっちの方がお嬢ちゃんには似合いそうだと


小さな赤いリボンのついた髪飾りを見せてくれた。


私が付けるわけじゃないんだけど……


苦笑いをして、その髪飾りを見て、一つ。小さなイタズラを思い付いた。


「お婆ちゃん! この髪飾り、もう一つある!?」


その小さな髪飾りを手に取って、お婆ちゃんに問い掛ける。


「この程度なら一時間もあれば作れるから、ちょっと待っておくれ」


全部お婆ちゃんが手作りして売っていたお店だったみたいで

お婆ちゃんは私の言葉にそう返して、手際よく同じリボンを作り始めた。


小さな赤い布を綺麗にリボン型に仕上げて

それをヘアピンにくっつける。


手慣れていて、凄く丁寧で早い作業に、思わず見入ってしまっていた。


出来上がったよと。そう言って見せてくれた髪飾りは、手作りとは思えないくらい私に見せてくれた髪飾りと完璧に同じもので


「お婆ちゃん凄いっ! 魔法みたいっ!」


思わず私はお婆ちゃんにそんな事を言っていた。


「髪飾りのプレゼントの意味をお嬢ちゃんは知ってるかい?」


少し自慢げに。お婆ちゃんが話してくれる。


「これからもずっと一緒に居よう。特にリボンのプレゼントは結ぶという意味から絆や良縁。なんて意味も込められているんだよ」


リーノに似合いそうだったから。そして、小さなイタズラ目的のつもりだったのに。


その意味は両親を失くしてしまった私達姉妹には凄く似合ってる気がして


「ふわぁ……素敵な願い」


お婆ちゃんの言葉に、思わず呟いて、三つのリボンを眺めていた。


お婆ちゃんは私がそんな意味が込められてたなんて知らなくて関心していると、

優しく笑ってそれを一つ一つ紙袋に入れて、私に差し出してくれた。


「あっ! ごめんなさい! えっと代金は……」


私が財布を出そうとあたふたしていると

お婆ちゃんは優しい笑みを残したまま


「こんな年寄りの話をずーっと嫌な顔せず聞いてくれたんだ。それが代金代わりさね」


そう言って、財布を出そうとする私の手を止めた。


「で、でも悪いですよぉ」


私がそれでもと言葉を続けるけれど、お婆ちゃんはふるふると首を振って


「もうこのお店も潮時だと思っていたし、いいんだ。最後のお客さんがお嬢ちゃんみたいな優しい子なら思い残すこともない」


こんなにも沢山。綺麗なリボンや髪飾りのあるお店なのに勿体無いなって思ってしまう。


それでも、お婆ちゃんの年齢を考えれば仕方の無い事だとも思うから

私には何も言えなかった。


「誰にプレゼントをするつもりか。そこまで詮索をするつもりは無いけれど、お嬢ちゃんみたいな優しい女の子が結びたい縁。どうかその縁と絆が一生続くよう。私も陰ながら祈っているからねぇ」


そう言って、お婆ちゃんは三つの紙袋を、私の手に握らせてくれた。


ここで代金を支払うと頑なに言うのは、お婆ちゃんの優しさを踏み躙っちゃうような気がして。


だから私は


「ありがとうございます! せっかく見つけた綺麗なお店が無くなっちゃうのはちょっぴり寂しいけど、お婆ちゃんも、お身体に気を付けて元気で!」


そう言って、お店を後にした。


そしてお家に帰って


私はリーノとヴャクトお姉ちゃんに、紙袋を手渡した。


「なんです? これ」


「ラーナからのプレゼントなんて珍しいな」


二人の言葉に、私は良いから開けてみてっと。

そう言って


「随分と可愛らしい髪飾りだな。お姉さんに似合うか少し不安だ」


ヴャクトお姉ちゃんと私のは同じ。小さなリボンの付いた髪飾り。


「ラーナお姉ちゃん、これは新手のイジメですか? どうして私だけこんな子供っぽい大きなリボンなのです?」


リーノの言葉に、お姉ちゃんは私の意図を汲み取ったのか、クスクスと可笑しそうに笑っていた。


「私もお姉ちゃんも、リボンだよ?」


わざとらしく。そうやってイタズラに笑うと、リーノは小さくため息を吐いていた。


そして、私はお店でお婆ちゃんに説明された髪飾りのプレゼントの意味と

リボンに込められた想いをお話する。


「お母さんもお父さんも居なくなっちゃったけど、私達三人は、私達三人の絆は絶対になくならないからっ!」


ラーナらしいと。そんな事をお姉ちゃんに言われた。


「迷信ですよ。そんなの……」


少し不満げに。でもリーノにもその気持ちは伝わったみたいで。


その日以降、私達は皆、その髪飾りとリボンをどんな時でも付けるようになった。

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