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闇の暗殺者と幼き少女。  作者: 博多っ子
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第33話《それぞれの道》

 私は好きになってしまった。

 あの人の声を聞いた時から。


 私は好きになってしまった。

 あの人の手を握った時から。


 私は好きになってしまった。

 あの人の心の内を知った時から。


 この感情は兄妹の感情とは違う。


 あなたがこの目に見えなければ見えないほど……麻衣はあなたが愛しいのです。


 例え私の思いが通じていなくても心が癒される。

 例え私の想いが理解出来なくても心が洗われる。


 ああ、私がもっと大人だったら……私が子供ではなかったら……そしたら私はきっと……麻衣はきっと……あなたのことを……


 ―――


 ――


 ―


「キャハハハ、選手交替カ!オモシロイオモシロイオモシロイ。俺はお前ガ気に入らなかったんダ」

「奇遇だな。僕もお前が嫌いだったんでね。だが一応、礼だけ言っておこうか」

「礼ダと?」

「僕の家族に逢わせてくれた礼だよ。お礼として南の殺人凶の実力を見せてやるよ」

「ソレハソレハ楽しみダ。だが、左腕ガ無くなった貴様ノ実力は底が見えそうだヨ」


 その言葉を聞いた侑也は鉄の槍を肩から抜き目の前に向かって一振りする。その直後、北の殺人凶に向かって風、瓦礫が突風のように一直線に襲ってきた。


「フフフ、凄いナ」


 死歩を使ってその攻撃をなんなく避ける。しかし顔には浅い傷だがカッターで切ったかのような傷口が出来ていた。タラリと血が地面へ落ちる。


「ほおー、やるナ。たった一振りでコノ攻撃。おまけにカマイタチのような風……。サスガサスガサスガサスガ!破壊力ハ全く衰えていなイナ。フフフ、オモシロイオモシロイ」

「誉めているのか?いや、小馬鹿にしているのか?その笑みは余裕の表れか?」

「そんなコトはないヨ。同じ殺人凶なんだ、オマエの実力ハ認めてるつもりダ。だが、片腕ガ無くなった事実ハ変わらないヨ」


 実力を認めてるだと?

 片腕が無くなった事実だと?

 それを小馬鹿にしてると言わずに何と言う?


「北の殺人凶……貴様は僕をなめすぎだよ」

「オヤ?何カ変な事でも言ったカ?」

「麻衣!ジジィの後ろへ隠れてろ!」


 大声で叫び麻衣に警告した後、槍の切っ先を建物の壁に突き立てる。そして、そのまま北の殺人凶に向かって突進してきた。飛び散った火花が後方の麻衣の方まで運ばれてくる。


「何ヲしてる?」


 壁から火花が散りはじめ、槍の先が摩擦の熱で赤く染まる。


「受けてみろ!お前にはお得意の再生力があるんだったよな」


 侑也は赤く染まった槍を北の殺人凶に向け放った。


「火炎の突き、メロディーレクイエム!!」

「速イ!」


 複数の赤い閃光が襲いかかり、北の殺人凶を襲った。その衝撃は凄まじかった。彼の体を貫通した衝撃が後ろの壁まで伝わり粉々に粉砕してしまったのだ。


「グギャアアアアアア!!」

「ふー、どうだ?なかなか効いただろ」

「アチチチチチ!クソくそクソくそ!再生できナイ」

「焼けて死んだ細胞まで再生出来ないだろ。お前はその能力のせいで防御が甘いんだよ」


 転がりのたうち回るその姿に侑也は容赦なく次の攻撃をしかけてくる。


「火炎の突き、火縄突(ひなわづ)き」


 一発の弾丸のような突き、回転をかけて威力をさらにあげ、北の殺人凶に迫る。


「アア!うっとおしい!」


 北の殺人凶は素早く立ち上がりギリギリのところでその攻撃をかわした。威力は強大だが単発のその攻撃は油断さえしなければ難なく避けることは容易かった。


「ぐふぅ!血ガ止まらナイ」


 膝をつき、傷口から血が滴る。いくら不死身に近い北の殺人凶ですらその激痛はなかなかの苦痛であり、再生力という能力をこんな方法で封じられるとは予想外であった。侑也は目の前に立ち、北の殺人凶に問いかける。


「北の殺人凶、お前はこの闘いに何を見る」

「一つの希望ダ」

「北の殺人凶、お前はこの闘いで何を得る」

「大切な存在ヲ抱える為ダ」

「北の殺人凶、お前は……そうか……お前にも助けたい者がいるんだな」

「………知ったような口を聞くナ!貴様に俺ノ何が分かる!」


 二人の殺人凶はお互いに向かい合いそして………無言の激突をする。



 ―――


 ――


 ―



 ―――巡る巡る涙の道、その風景は悲しみの通路。

 ―――巡る巡る涙の道、その色彩は哀しみの迷路。

 ―――巡る巡る最後の道、その意味はまだ……知らない。


 最強、最凶、最狂、殺人凶、暗殺者。


 それぞれの道は枝分かれ、それぞれの想いも枝分かれ、心の拠り所はいつも迷う。あなたが選んだ道の最後は一体、何処へ着くのか。





 ああ、あなたは…………私は………僕は………俺は………己の道へ突き進もう。


 それしか………見えないこともあるのだから………。


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