第31話《それぞれの思いを文字にして……》
太陽の光が見えなくても
私はあなたを見つめていたい。
月の光に触れられなくても
私はあなたと触れていたい。
光の存在が消えたとしても
私はあなたの側にいるだけで幸せです。
怒っている私は好きですか?泣いている私は好きですか?笑っている私は好きですか?
とても温かいあなたの横に私は寄り添いたい。
一時の時間かも知れない。僅かな時間かも知れない。最後の時間かも知れない。
そんな事を思ってしまうから。そんな事を考えてしまうから。
ああ、そうか。うん、そうなんだ。
私は……麻衣は……あなたの事が……好きなのかも知れない……。
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私は家族を殺された。
私は心を殺された。
私は未来を殺された。
私は私を殺された。
私は全てを殺された。
幸せな者が憎い。
痛みを知らない者が憎い。
愛し合ってる者が憎い。
共感し合ってる者が憎い。
憎い憎い憎い憎い憎い。
……………………………だけど……………………………だけど……………………………それは私のただのわがまま。
私以上に苦しんでいる者はいっぱいいる。
私以上に泣いている者もいっぱいいる。
私は私の弱さが憎いだけ。
そう、私は弱い。
弱くて弱くて弱くて弱いから、私は崩壊した。
弱くて弱くて弱くて弱いから、私は絶望した。
なんで、私って……こんなにも自分勝手なのだろう。
あー、そうか。私は弱いから強くなければいけないんだ。
強くなれば泣くこともなく、強くなれば未来も見えるだろう。
簡単な事だったんだ。そうだよ!私が最強になり、最弱の物語に終止符を打とう。
日光により干上がった蛙より、雨の中で鳴いている蛙になればいい。
私は雨に生きる蛙、その蛙は日の日差しを知らない。
ずっと、ずっと、ずっと、私は……古川千夏は……雨の渦の中で鳴いている蛙になればいいのだ。
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初めてだった。
こんなにも君を守りたいと思ったのは……
初めてだった。
こんなにも君を救いたいと思ったのは……
初めてだったんだ。
こんなにも君を大切だと思ったのは……
でも、それは僕の勝手な思い込み。
今までに数えきれない人を殺めてきた僕に対して君はなんて答えるのか?
そうだ!僕は所詮、人殺し。人殺しなんだ。
闇に呑まれ堕ちてしまった、ただの人殺し。
だが、約束しよう。僕は君を絶対に守ってやる。
君がもし涙を流したら
そっと顔に手を添えよう。
君がもし震えているのなら
そっと手を握ってやろう。
君がもし助けを呼ぶのなら
死んでも地面から這い上がろう。
君は僕の太陽だから。
君の笑顔が光だから。
君の全てが希望だから。
僕は君に逢えてよかった。本当によかった。
だから僕はまた染まろう。殺人者として、君を守る為、僕は真っ黒に染まってやる。
僕の名は中原侑也……南の頂点に位置する者。
―――
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あの刻は幸せだった。
あの時は幸せだった。
あの……生活は幸せだった。
忘れたい過去なのに忘れられない。
忘れたい記憶なのに忘れられない。
お前はなぜ死んでしまったんだ。
なぜ、私を残して死んでしまったんだ。
涙が溢れてしまう。周りが霞み滲んでしまう。
逝かないでくれ!まだ、私の側にいてくれ!私を見ていてくれ!私を感じてくれ!
………………死んでしまった。
………………逝ってしまった。
………………なぜ、私は……………お前を愛してしまったのだろう。
だが、私は立ち直るよ。君の分もあの子を幸せにするから。
君の分身であるあの子は君に似ている。
少し心が落ち着いた。
少し心が洗われた。
少し幸せが見えてきた。
君は空から私達を見ていてくれ。きっとこの子も空を見上げて君を見ているから。
………………………………なぜ?…………………………………なぜ?
………………………………なぜだ?…………………………………なぜだ?
………………………………なぜなんだ?………………………………なぜなんだ?
私の宝がまた、いなくなった。
逝ってしまった……お前のところへ……。
私を残して逝ってしまったよ。
私を一人にしないでくれ。私を孤独にしないでくれ。
なぜ、私の両手から全て滑り落ちてしまう。
なぜ、私の天使までもが死んでしまう。
私は……どうすればいいんだ。
そうか……そうだな。私もお前達のいる場所へ行こうじゃないか。
死なんかより生きてるほうのが辛いだけだ。
今行くぞ、私の宝物達よ。
すぐに逢いに逝くからな。
私達でもう一度、食卓を囲もうではないか。
医者として君達の側にいられなかった清一ではなく、家族としてまた、君達の笑顔を見られる私になりたいから。
ああ、死ぬとは……なんて心地よい世界なんだ。
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私に友達はいない。
正確にはつくれなかった。
私は殺人者の血を受け継ぐ汚れた人間だから。
私と一緒にいるときっと、不幸になる。
私と一緒にいるときっと、後悔する。
それが嫌だから、小さい頃から友達という存在はいなかったんだ。
それでいいんだ。それが私の運命なのだから。
それでいいんだ。それが私の使命なのだから。
それでいいんだ。それが私の宿命なのだから。
だから、羨ましい。
あなた達の存在が。
だから、嬉しい。
あなた達の絆が。
私はただ、見ているだけ。私はただ、見つめているだけ。
それだけで私の心は溶けていく。
あなた達二人の手は、私にとって遠い遠い存在です。
私の存在は西に縛られ、私の心は西に囚われ、私の最後もきっと……西として終わるのだろう。
私の名はキル・メーラ。全てを西と歩む儚い存在。
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俺は強さを目指し、暗殺者となった。
錆びれたごみ溜めの中で生きてきた俺にとって強さは憧れであったからだ。
そんな中でついに手にしたんだ。そう、最凶という称号を貰い俺は最強に近づいた。
その最凶と言う名を聞くだけで周りは怯え去っていく。
最凶の条件はごく単純である。
最凶は絶対でなければならない。
最凶は完璧でなければならない。
最凶は無慈悲でなければならない。
そう、たったそれだけ。たったそれだけなのだ。それだけで俺は最凶を手に入れた。
しかし俺は、あいつに逢ってしまった。
同じ最凶の仲間から託された少女に。
少女の心は暗く閉ざされていた。
それは何かを決断した目だった。
それは何かを悟った目だった。
その目を日々見ているうちに俺は決心してしまう。
こいつを守ろうと。
こいつを救おうと。
こいつと一緒に歩もうと。
俺は初めて思ってしまった。
結局、俺が最凶になった理由はなんだったのだろう?
いや、考えてもしょうがない。
ならばこいつと前進しよう。
俺は最凶の暗殺者、シン・ハザードとして最凶の称号をこいつと継いでいこう。
―――
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闇に生き、闇で死ぬ。
鏡の暗闇に反響し、鏡の暗闇に依存する。
過去にはもう戻れないのに、過去を見つめてしまう。
囁く声が嬉しくて、握りしめる手が愛しくて、そんなお前を俺は守れなかった。
たった一人の俺の家族。
一体どこに消えてしまったんだ。
一体どこに行ってしまったんだ。
お前に会いたい。お前に逢いたい。
そして、ギュッと抱きしめ涙を流したい。
硝子の破片を捜す為、俺は一生歩き続ける。
硝子の輝きを取り戻す為、俺は一生歩き続ける。
硝子のピースはきっと、きっと見つかるのだから。
本当の名前はすでに棄てている。そう、今の俺はダーク・ミラー。闇に生きる鏡の欠片。
いつか鏡の名を言わぬその時まで、俺は夜空を見上げよう。
葉についた水滴に蛙は言いました。
(君は誰なの?)
葉についた水滴に蛙は傾きました。
(なぜ黙ってるの?)
葉についた水滴に蛙は泣きました。
(僕を一人にしないでよ)
しかし返事はありません。
なぜならそれは………
水滴に写った自分の姿なのだから。




