第15話《静かな復活と真実の言葉》
《プラナリアとは?》
※主に川等の淡水にすんでいる小さな生物。体は軟体で矢印マークのようなキュートな姿です。体を100等分に切り刻まれても再生する脅威の再生力を持っている。
詳しくはインターネットで調べれば出てきますので興味がある方は見て下さい。
北の殺人凶、その男は人間ではない。人間と言う言葉をこの男に当てはめる事は皆無なのである。彼は一回この世を去っている者。ある人の手によって二回目の生を受けたいわゆる死人である。分かりやすく言うとゾンビに似ている。心臓は動いておらず体温もない。しかし、その人間の蘇生技術により汗もかくし、涙も出る。心臓も動いてないのに血流もしっかりしている。見た目には死者と気づく事は困難である。
体は腐敗せず神経も生きているので痛みの伝達はごく普通の人間と同じ。一番の特徴は一部の場所を除いて生命活動が停止するほどの重傷を負っても命を落とす事はないと言う事。そう、ただ一部を除いて…
千夏はゆっくりと美沙のいる場所まで歩いて行く。その後方には上半身と下半身を真っ二つにされ死神の鎌で首を飛ばされた北の殺人凶の姿がある。
「パパはあなたを殺すなと言ったけど…やっぱり殺していいよね」
千夏はそう言い鎌を振り上げる。檻ごと彼女を真っ二つにするつもりだ。
だがその時、千夏の背後から信じられない声を聞く。
「痛いじゃないか。死神さん」
背後にいたのは紛れもない北の殺人凶の姿であった。
その声を聞いた瞬間、千夏は素早く彼との距離をとる。
「あなた…さっき殺したのに…」
千夏の表情が曇り出す。さきほど自分の手で彼の体を真っ二つにし、最後は首まで落とした。しかし今の彼の姿は傷一つない元の状態に戻っている。
「ふふふ、さすがに痛かったよ。私が殺人凶になってから初めての死だった」
黒色の鎌を構えてすでに戦闘体勢の千夏。己の武器を強く握りしめて殺気をこめる。
「あなた…もしかしてさっきの私の攻撃をわざと受けたの?」
「ふふふ、あの攻撃は私でも避けれないよ。あ!そうだ、一つ楽しい情報を教えてあげよう」
北の殺人凶がニコニコしながら千夏に歩み寄って来る。しかし!!
《ズバ!!》
千夏の素早い攻撃によりまたもや首が宙へ舞う。
「うるさい人!!」
首が地面に落ち体は立ったままの状態。鮮血が辺りを赤く染めていく。しかし次の瞬間、北の殺人凶の首から上がニュル!と言う音とともに生えてきた。そして静かに口を開く。
「死神さん、プラナリアって知ってるかい」
「???」
「ふふふ、プラナリアとは自然界の生物であり不死身の体を持つ最強種なんだよ。どんなに切り刻まれようとも再生し復活する神秘の生物。私の体にはその生物のDNAが入っている」
殺人凶にはそれぞれ特化した能力が一つある。
ーーー東は記憶力
ーーー西は速力
ーーー南は破壊力
ーーーそして北は治癒力
それぞれこの能力が桁違いに高いのが殺人凶の特徴であり誇れる力でもある。
「やっぱり私はあなたが嫌い。今すぐにでもあなたを殺したいけど…やめときます。パパが来ちゃったから」
物陰の後ろに立っていたDがゆっくりと姿を表す。
「楽しい殺し合いは面白かったか?北の殺人凶、千夏」
笑みを浮かべながら近づくDに対し北の殺人凶も彼の元へゆっくりと歩み寄る。
「もう戻って来たんですか?せっかく貴様のお気に入りと楽しい殺し合いを堪能していたのに」
「お前は短気で好戦的だ。この私の到着が遅れたらこの場所は確実に地獄と化していた」
二人の殺人凶が目の前に立つ。笑ってはいるがDの体からは凄まじい殺気が放たれている。
「北の殺人凶。この私と組む限り勝手な行動は慎めよ。協定が破棄になったらお互い困るだろう」
Dはそう言い残しこの場を立ち去る。それを見届けると千夏は美沙の前に立ち腰をゆっくりとおろした。
「あなたは私の大切な玩具。仲間の暗殺者を殺したらゆっくりといたぶってあげる」
千夏はそう言い残しフッと風のように消えていった。
その光景を見ていた北の殺人凶もゆっくりと美沙に歩み寄る。
「ふふふ、中原美沙。まさかあいつの姉だっとはな。そろそろ奴も知り動き出すな」
その言葉に美沙は意味が分からなかった。
あいつの姉?なんの事?私に姉弟か姉妹がいるって事?
「ちょっと!私に家族がいるの!!」
その問いに北の殺人凶はにっこりと笑った。
「なんだ?貴様の師、シャドーは伝えてはなかったのか?」
私に家族?
師のシャドーから聞いていたのは家族は何者かの手によって殺害されたと言う事。それ以上は何も教えてくれなかった。それに私もあの頃は小さくて何も覚えていない状況だった。
「誰なのよ!!あんた知ってるんでしょ。私の家族ってどこにいるの!!」
牢を両手で握りしめ北の殺人凶に問い詰める。頭の中がもう真っ白でただ必死に叫んだ。
「そんなに叫ぶんじゃないよ。どのみち奴から会いに来てくれる。この地獄の場所へね」
そう言い終えた後、北の殺人凶もこの建物を後にした。
「シャドー。どうして私に生きていた家族の存在を隠したの。なんでよ、ずっと隠す理由なんてあるの」
美沙はゆっくりと座り込みそして涙声で呟く。
「よかった。私に家族がまだいたんだね」
ーーー知りたくもない
ーーー私の人生を奪った運命を
ーーー聞きたくもない
ーーー私のその後の運命なんか
ーーー触れたくもない
ーーー汚れた私自身なんか
死は淡々と私を覆うのでしょう。
辛い?悲しい?切ない?そんな感情はもうない。
だって私は悪い子だから。
だって私は愛されてないから。
だって私は望まれてないから。
人間ってとっても不思議なの。
きっかけがあれば全てを最悪にする事が出来るから。
私も一緒なのかな?ううん、やっぱり一緒なんだよ。
頭が空っぽになった時、人間は皆一緒になるんだね。
そっか、私は孤独で寂しいけど頭の中を空っぽにしちゃえば何も寂しくないじゃん。
何も考えず、ただ欲望のままに動けば私は私自身になれるんだ。
ああ、神様って本当に不公平……




