招かれざるゲスト
ラファーティア王国との国交樹立並びに軍事同盟の協議のさなか、お呼びでない客が押しかけて来る。
「で、そのお呼びでない客は?」
廊下を歩きつつ、塚崎全権大使は部下に問い
「ハイ、応接間で待たせておりますがあれではまるで喧嘩腰の抗議に来たようにしか見えません。」
部下の官僚は言い
「我々の世界での北朝鮮の金正恩若大将か………呆れたものだな。馬鹿は何処に行っても居るか………」
ため息をついていた。いずれは喧嘩腰の抗議に来るのは見えていたが、この大事な時に来られるのもたまったものではない。おおよその要求は見当がつくが「民主主義」と「自由」が保証されている日本に到底受け入れられるものではない要求だろうと塚崎はこの時思っていた。
「塚崎大使、一応万が一に備え応接間には武装した隊員を配置しております」
部下は答え
「分かった。いずれにせよ「要求」だけでも聞いてやるさ、形だけでもな」
塚崎は言い
「そこの扉です。お気を付けて」
塚崎は扉を開け
「失礼します。」
中に入ると
身なりの良さそうな男が三人見てくれはインチンキ宗教家とも言えそうなものだった。
「貴方が、ここの責任者ですかな?」
椅子に座るなり年配の男が言い、
「ハイ、私が日本国全権委任大使塚崎と申します。」
塚崎は答える。すると
「今回の貴方方の行いに総本山はお怒りです。我ラーディア教人らを殺害、異教徒を庇う所業貴方はいかに責任を取るつもりか?」
その問に対し、
「名乗りもせずに、自らのした事は棚上げですか………?いいご身分ですな」
塚崎は言うと
「なッ………無礼者ッ、貴様ら異教徒の野蛮人に名乗るな名など持ち合わせておらぬは」
相手は激高して怒鳴るが、塚崎は顔色変えず、
「相手を訪れる際は事前のアポイトメント、そして自らの名乗りが常識では?」
足を組む余裕さえ見せる。相手は
「総本山より貴国に以下を要求する」
一つ 今回の戦闘行動に際し責任者の処罰
二つ 謝罪と賠償金を支払うこと(金額は追って伝えるものとする)
三つ 貴国にすぐさまラーディア教の布教を行うこと、これ以外の宗教の信仰は認めない
四つ 貴国の軍事力は我ラーディア教に組み入れること
言い切ったが、それを聞いていた塚崎は間髪入れずに
「返事は全てNOだ」
答え
「逆に今回の虐殺に関する責任者の処罰、ラファーティア王国への侵攻と虐殺行為の謝罪と賠償、それに我国は宗教の振興は自由が保障されている。法律によってな。それに我国の戦力をあなた方のために組み込むなんて質の悪いジョークだな。言いたい事はそれだけか?こちらも多忙の身でね。返事は伝えた。」
塚崎は言うと
「我々に歯向かう事が何を意味するのか分かっているのだろうな?」
恫喝とも取れる言葉を吐いたが
「何度も言う返事は全てNOだ。なんでしたらまたお試しになられますかな?我自衛隊の力を………」
言い残し、周りにいる自衛官らに
「丁重に門の外まで案内して差し上げろ」
そう言い、塚崎は部屋を後にした。そこには要求を全て拒否され唖然とする総本山より代理として送られた男達と武装した自衛官らのみが残っていた。
そして、廊下を歩く中
「{なんとしても、ラファーティア王国と国交の樹立、軍事同盟を結ばなければな………}」
しかし、水面下では既に王国に魔の手が伸びようとしている事を知る由もない。
次回~日本国政府の反応~を予定しています。




