7.14歳になりました
あの日から約3年が経ち、私は14歳になった。1ヶ月に1回とある場所で兄である(前世の)ルークやリューと情報交換をしながら、この屋敷で生活している。
そんな私の最近の悩みはアレクのことである。13歳になったアレクは成長期に入り、前は私より低かったのに、今では私と同じくらいになっている。声変わりも始まり、前より声が低くなっていた。そんなアレクの変わらないところは成長しても私との距離感がおかしいところである。私に抱きついてきたり、他の男性を威嚇したり、はたまた私がとどこかに行こうとすると目的地を聞いてきて護衛をつけたり(勝手に)。とにかく、ものすごくくっついてくるのである。
(過保護すぎるんだよなあ)
私が部屋から出て、食堂に向かっているとやはり後ろからアレクが抱きついてきた。
「おはよう、姉さん」
「おはよう、アレク。いい加減にしないと姉さん、婚約者ができなくなる」
ここは貴族社会。そして、私は親がいない。それに、あの叔父夫婦なら私を政略結婚の道具として扱うだろう。
(そうなるのなら、自分でなるだけいい相手を見つけるか、独立しないとな)
そう考えていた私は知らなかった。アレクの瞳に一瞬殺意がこもっていたことに。
△▼△
(姉さんは、僕のことを弟としてしか見てないんだ)
僕が姉さんと初めて会った日から約2年が過ぎた。俺は勉学と武術について学びながら‘姉さんに近づこうとするものを排除’しながら、社交界デビューに向けて準備をしている。
この国の社交界デビューは14歳。姉さんはつい先日の屋敷で開かれた夜会で社交界デビューをした。が、それもほぼメインは妹であるソフィアで姉さんは目立たなかった。
(俺にとってはいいけど姉さんにとってはダメなんだろうな)
この時から僕の中には‘弟’という立場がもどかしくて仕方がなかった。
(姉さんは僕を弟としか見てくれない。だから、僕がこんなことをしても婚約者ができないなんて言う。姉さんの1番は僕だけなのに……)
「あっ、姉さん指出して」
「えっ?ああ、血が足りなくなったのか」
差し出した姉さんの指を少し噛み血を飲む。姉さんの血の味は他の人と違いとても美味である。それは執着している相手なのか、理由はわからない。ただ、姉さんの血が2ヶ月以上飲めなくなると僕の精神が壊れるような気がした。
△▼△
「ありがとう、姉さん」
「じゃあ、食堂に行こうか」
「うん」
アレクは大抵、私の血しか飲まない。理由を聞いてもアレクは答えてくれなかった。
(なにか、理由があると思うんだけど)
食堂に着くと、リィンから手紙を渡される。送り主は叔父だった。叔父はこの国の第1王子であるレグルス王子とソフィアの婚約を結び付けたいらしく、ソフィアと一緒にたまに私を呼ぶ。その理由は簡単で邪魔者である私を他の家に嫁がせたいのだろう。だが、利益を見込んでなるだけ上の立場のものに。
アレクはこの家の次期当主として扱うつもりらしい。
(なるだけアレクにはいい人に恵まれてほしいな)
私は封筒を開けると中から取り出して手紙を読む。
(ふむ、3日後に夜会があるからついて来い、か)
私は返信の手紙を書くとリィンに渡す。
食事を終え、食堂から出るとアレクに夜会に出ることになったと伝える。
「夜会に出ることになったから、夜は1人で夕食を取って」
「わかった。でも、ぜっっったいに知らない男の人とかについて言っちゃダメだよ。いいね?」
「私はアレクよりも年上なんだけど。子供じゃないし」
「……姉さんは分かってない。姉さんを狙ってる奴がどれだけ多いか」
「いや、アレクは社交界デビューしてないからわかんないと思うんだけど」
アレクが異様に私に近づく男性を威嚇するのはよくわからないが、このままだとアレクに婚約者ができなくなってしまう。
(そんなことは絶対にダメだ!私が頑張ってアレクのいいお相手を見つけなければ!)
なにか、夜会の目的が変わっているような気がするがまあ気のせいだろう。
△▼△
「3日後にフィオルを殺す」
「どうやってですか?」
「崖から突き落とす。それで行方不明。そして、時期が過ぎたら鬼籍に入れる」
「よろしいので?」
「ああ。よろしく頼むぞ」
「はっ、承りました」




