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3.義理の弟ができました

 

「初めまして、本日よりリーセン家の養子に入ります。アレクシス・リーセンと申します」


 アレクシスは黒髪に赤い瞳持つ少年だった。その表情は暗く、陰っていた。

彼から目を逸らし、叔父一家の方を見る。少し太った髭の生えた男性、豪華な装飾品に身を包みアレクシスと私をゴミを見るような目で見つめてくる女性、そして、一目見ただけでは天使のように見える少女、ソフィア。私のいとこらしいが本性はとても欲にまみれており、自分の欲しいものはなにをしてでも手に入れる。そんな子だ。

私をいじめていたのは私の容姿が気に入らなかったことと私の母親が獣人だかららしい。


(大丈夫かな、あの一家。それがバレたらどうなるかわかっていないのかな)


ちなみに、この1ヶ月ソフィアは前と変わらずに私を()()()()いじめにきていた。


(まあ、記憶を取り戻した……いや、()になったからそこまで意味ないんだよなぁ)


前世は暗殺を生業としていたのだ。訓練は鬼のようであったし、深手を負うこともあった。こんな、(フィオラから見れば)小さい子のいじめなんて大したことではないのだ。


「フィオル! これの面倒はお前がみろ。別邸で過ごすようにな」

「はい。わかりました」


 そう言って、叔父と叔母は去っていった。残ったソフィアはわざわざ私の前に来てこう言った。


「ゴミ同士、お似合いね。せいぜい死なないようにね」


(わざわざこっちに来てまで言うことがちっさい子だなあ)


しかし、メンタルが鋼のように否、ミスリルのように強いフィオルには痛くも痒くもない。むしろ、「可哀想だなぁ」なんてことを思っていた。

 表情を変えずに満足したのかよくわからないが出ていくソフィアを見送ると、私はアレクシスの方へと向かった。


「さて、アレクシスでいいのかな? 初めまして、私の名前はフィオル。よろしくね」

「おねえさんもあの人たちと同じなの?」


 アレクシスは警戒を解かず、ソフィアにした質問と同じようなものを私に聞いてきた。


「私はハーフだよ」

「半分人間の血なの?」

「ああ、半分はね」

「もう半分は?」

「内緒。さあ、私についてきて。アレクシス」


 そう、促すと意外なことにアレクシスはおとなしくついてきた。今の会話で何か変わったことでもあったのだろうか。

 この家にはここ、本邸と少し離れたところに私たちが住んでいる別邸がある。叔父一家は大抵本邸にいて、別邸に来ることは一年にあるかないかくらいらしい。


「スーザン、ウィルフレッド」

「「はい」」

「スーザンはしばらくの間アレクシスの面倒を見てあげてほしい。ウィルフレッドは信用できる人間を選んでアレクシスの護衛をさせて」

「「了解致しました」」

「……」


 そうやって歩きながら私がテキパキと手配をしているとアレクシスがジッとこちらを見ていた。


(なんか変なことやったかな、私)


「どうしたの?アレクシ「アレク」」

「え?」

「アレクって呼んで。僕もねえさんって呼ぶから」

「わかった、アレク」


 何がアレクの警戒を解いたかはわからないけれど、それでも私はアレクと仲良くやっていけそうだなと思った。

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