2.今後の方針
ーーフィオル! フィオル!
ーーおい、どういうことだ! ーー! 自分が何をしたかわかっているのか?!
ーーごめ、ごめん、こうするしかできなかったんだ……。
ーーねえさん! ねえさん!
暗くなっていく視界。男の胸ぐらを掴む兄と、泣きながら自分の名前を呼ぶ最愛の彼。遠くにはこっちに泣きそうな顔をしながら走ってくる妹。
(ああ、そうだった。私はあの時、ーーだった彼に刺されて……)
意識が浮上する。目の前が白く光り声が聞こえた。
ーーどうか、どうか、この世界の未来のために
ーー私が守るから、支えるから
(ーー? ああ、ダメだ。記憶が)
私の意識はそこで途切れた。
△▼△
「おはようございます。お嬢様」
「おはよう、リィン。今日の予定を聞いてもいい?」
「はい。本日は先日お話しした弟君となられるお方がお越しになります」
「わかった。すぐに準備しよう」
(もし、仮に今日来る子が彼らと同じだった場合、私には敵が増えることになるな。なるだけ、彼らと違う性格であることを祈ろう)
フィオルが記憶を取り戻して1ヶ月が経った。この1ヶ月はリィンたちから話を聞くなどして今までと違和感のない、『フィオル・リーセン』を演じた。それによりわかったことは、叔父一家全員から虐待を受けていたこと。信頼できるのはリィンたちだけだったこと。そして、ソフィアのとある計画によって記憶を失ったことはわかった。
しかし、情報が足りなかった。自分がなぜ、記憶を取り戻したのか。周りには話せない。子どもの戯言と思われ一蹴されるのが目に見えている。ならどうするべきか?
(とりあえず、闇ギルドに行くか)
フィオルが前世で所属していた組織、闇ギルド。そこに行けばお目当ての人物と会えるだろう。
(今後の計画はとりあえずギルドに行ってから明確に決めよう。今はとにかく体力作りと)
窓から見える馬車を見つめる。その中からは黒い髪の男の子が出てきた。
(彼の見極め、かな)
これがフィオルが記憶を取り戻してから初めて決めたことだった。




