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銀星狼伝説  作者: 寿和丸


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第8話 ジャングル生活

第8話 ジャングル生活

その足でまっすぐ帰宅する。喉は乾いても居酒屋などに脇見する気もなかった。

「リサに会いたい」

妻は基地の中でも美人として知られている。

パイロット仲間から羨ましがられているくらいだ。

ところが家に帰ると、リサがジェフに襲われていた。余りのことに逆上してジェフを射殺してしまい、その場を逃げ出した。

運搬船を盗んで基地から脱出し、途中で敵艦からの砲撃も受けたが、なんとか無法惑星ズダールに逃げ込んで今に至る。


(リサは警察にうまく事情を伝えられたのか?ジェフを殺した疑いを掛けられはしないか?)心配がよぎる。

「いや、大丈夫だ。あれは口が達者だし、頭もいい。下手なことを言って、尻尾を握られるようなヘマはしない」そう自分に言い聞かせるように呟いた。


「パトロールの任務は隊長が仕組んだことではなかったのか?」もう一つの疑念がわく。

考えてみれば、可笑しなことだった。さして重要でもない地域へのパトロールを3日間も命じるなんて、理屈に合わなすぎる。

「あれは、隊長がリサを襲うために仕組んだことじゃなかったのか?あの任務に就かせたのではないのか」

「あの隊長とは、もともとそりが合わなかった。ほぼ同じ歳だったが、あいつは生まれがいいのですぐに出世して、俺の上に就いた。日頃から俺に難癖をつけ、俺を目障りのように扱っていた。俺が美人のリサと結婚したのも気に入らなかったのだろう。だから、俺の留守に上がり込んで乱暴しようとした。」

考えだすともうきりがない。


「あんな奴の思い通りになってたまるか。こんな所でくたばるものか。俺はここで生き抜いて見せる。

リサ、俺は何としてでもまたお前に会いに行く。それまで元気でいろ!」頭を振って、そう思い直すことにした。

ただじっとしていても腹は減るし眠くもなる。ジャングルで、一人でいくのはそれだけで必死だった。

就寝中に何か物音がすれば、はっとして飛び起きたし、見たこともない植物の実を食べるのも勇気がいる。

絶えず警戒は怠れないし、自然と物思いに更けることなどなくなり、ジャングルでの生活に慣れていった。


ある時、突然バサと音がしたかと思ったら、藪から子犬のようなものが飛び出してきた。

ウリューの所まで来るとゴロンと倒れる。見ると、後ろ足から血が出ている。

可愛そうにと思って、抱き上げようとすると、「うー」とうなり声しながら後ろから、狼と虎の合いのこのような獣が現れた。

「こいつ!」鉄パイプを持って身構える。

銃を使えば簡単に倒せるのだが、残りの電池量を考えると無駄撃ちはしたくない。

少し、睨み合ってから獣はウリューに襲いかかってくる。とっさに躱し、その後頭部にパイプをヒットさせた。

獣はこの反撃を受け、4、5mほど離れるが「きゃーん」情けなさそうな声を出して逃げだしていく。


「おい、大丈夫か?」子犬の怪我は深いものではないようだ。

ぐったりとしていたが、水を口に流し込むと元気を取り戻してくれた。半日もすると肉を食べるまで元気を取り戻してくれる。

「なんとか、こいつを生かしてやりたい」無心に肉を貪っている子犬を見ていると、なぜか物思いに更けることなんか忘れていく。

子犬は肉を食べ終えてもどこにも行く様子がない。どうやら、ウリューといれば安全で餌が貰えると思ったのだろう。

「お前の名はチョロだ。これから一緒に住もうな」


「まず確保することの第一が寝蔵ねぐらの確保だ。チョロお前の気に入るものを探そうな。」

それまでは、定住する場を探そうとはしたが、真剣ではなかった。

チョロは怪我が治っても終始ウリューの傍を離れようとしない。まるでウリューを親か主人のように慕っているかのようだ。

そんなペットとも相棒ともつかないものが出来ると、少しでも良い生活をしたくなった。

自分の為だけではない、チョロの為に少しでも暮らしやすくしたかった。

周辺を探索して大木を見つける。コブや蔦を足掛かりにして登ると、枝が広がって両手を広げ、足を延ばして横になれるスペースがある。

樹上なら、獣などから襲われる危険が少しはなくなると考えた。

チョロも気に入ったようで、盛んに尾を振る。

チョロは不思議な獣で、木登りするばかりか枝を自在に歩いた。

「お前、猫の血が混じっているんじゃないのか」この怪しげな星ならそんなこともありかも知れない。


ただ、チョロが加わったことで生活に張りが出たのも事実だ。

大木の上で寝泊まりし、下に降りて獲物を探し、肉を焼いて食べる。

いつしかチョロを掛け替えのない相棒と思い、ジェフのことなど忘れていく。

無法惑星のジャングル生活はこうして始まった。



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