第27話 バンリー村の逮捕劇
盗賊たちの本拠のあるバンリー村は街道沿い少し引っ込んだ所にある。3方が山に囲まれ、奥まった感じのこじんまりした村だ。そんな過疎に思える村だが、ここは金鉱山があり、採掘業者が出入りしてそれなりに栄えている。
「鉱山で潤っているから、皆、金遣いが激しい。盗難品も裁ける。盗賊はそこに目を付けた。
「しかも多くの人が来て金を掘り、その金を持って別の所に移っている。山奥の村だが人の流入が激しい。盗賊たちはそこに目を付けたようだ。」
「ということは、あまり隣人と顔見知りではないな。」
「盗賊は村人のなかに潜んでいると見ていいな」
「少し厄介ね。村人に流れ弾が当たる危険性もあるから、強引に本拠を潰すことはまずできない。もっと詳しく、内情を探る必要があるわね。アリはもっと捕まえた男たちから情報をひきだして。ウリューは村の情報を集めて。」サメロの指示が飛ぶ。
半日使って村の様子を探った所、盗賊の本拠としている民家は5軒長屋の端から二つを使って、二つの間を行き来できるようにしていた。その長屋に裏手が山に面していて、廃坑が口を開いている。つまり盗賊たちはいつでも廃坑を逃げ場にしようとしていた。
「盗賊の数は14名。ほぼ全員の所在を掴めたけど、一人首領と思われる人物だけを掴めていない。どうやら、村人の中で暮らしているようね。」
「もう少し時間があれば、掴めるとは思うのですが、狡賢いやつでなかなか正体を見せません。」ウリューが申し訳なさそうにいう。
防護団としては首領を見つけ出してから一斉に捕まえる方針だった。
ところがサメロが町長にその報告をすると風向きが変わる。
「もう少し探りたい所だが、明日早朝に盗賊たちの寝ている所を踏み込もう。」
「明日?急ですが何故です?」ウリューが不可解そうに聞く。
「町長から早急に盗賊を取り締まれと催促が来たのよ。どうも町長の支援者たちが盗賊退治をせっついているようね。」
「そりゃあ、商人連中にしたら、荷馬車が襲われたら商売上がったりだから、町長に文句が行くのだろう。そのしわ寄せがわが団に来た。」とアリが解説する。
「もっと情報を集めたいところだが、今は盗賊を捕らえるのが先。明日決行する!」
盗賊の首領が判明しておらず、もう少し捜索をしたかったが、町長に押し切られた形だ。
それでも、出来る限り村人に犠牲者が出さない、盗賊を取り逃さないように万全の体制を敷くようにする。
盗賊が根城としている二つの部屋に、ウリューとアリがそれぞれ部下10名ずつ引き連れ突入する。残りはサメロが指揮を執り、長屋を取り囲み、村の要所を押さえ、万一取逃がした者達を押さえることにする。団の全員60名で取り締まる体制だった。
決行の朝、かろうじて人の顔が判別できるような薄暗闇で、村に入る。村は寝静まり誰も表に出ている者はいない。
盗賊が寝倉としている長屋にも見張りの者はいなかった。
「村の中で、大ぴらに見張りを立てられないようだ。」
「中で不寝番はいると考えた方がいい」
「うん、そうだな、俺は右からウリューは左から飛び込んでくれ。」
手筈を決め、同時に突入することにした。
ウリューは部下を率いて、入り口の戸の前に潜む。戸は固く閉まっている。中に物音がなく、男の鼾だけが聞こえる。
アリが片手を上げ、ウリューも応える。さっとアリが手を下げた。
「バリ、バリ」部下が大槌で戸を破壊する。それと同時にウリューは飛び込んだ。
すると正面に、うつ向いて椅子に座る見張りが一人いた。
そいつは寝ぼけ眼でウリューを見る。明らかに驚いて見開いていた。
男が立ち上がるより早く拳をみぞおちに打ち込んだ。
「う!」男がそのまま崩れ落ちる。
そのまま中に上がり込んだ。
中では男たちが雑魚寝をしている。
毛布をかぶって寝ている者、暑いのか裸のまま仰向けになっている者、様々な寝相でまだ立ち上げってなかった。
「動くな!」「大人しくしろ!」
部下たちが盗賊を怒鳴りつけ、怯んだところを捕縛していく。
一人の盗賊が起き上がって、武器を取ろうとした。
それを部下が咄嗟に銃を蹴飛ばし、「抵抗するな!」と一喝。
盗賊はそれ以上、歯向かわなかった。
捕縛して盗賊たちを外に連れ出す。諦めきって誰も暴れ出す物はいない。
捕縛して盗賊たちを外に連れ出すが、諦めきったのか暴れ出す者はいない。
「人数は?」
「13人です。首領と思われる者が見つかってません。」
やはり、首領はいなかった。
「まずいな。手下を捕まえても、頭を逃したらまた盗賊団を作られる。」
根城への踏み込みが急で、盗賊たちも暴れられなかったから、こちらには怪我人はいない。
本来なら大成功と誇れるものだが、首領を取逃がしたら、今朝の成果は目標の半分に終わる。
サメロを含め幹部は臍を噛んでいた。




