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銀星狼伝説  作者: 寿和丸


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24/28

第24話 格闘訓練

次の日から本格的な訓練が始まる。

準備運動、ランニングなど基礎訓練してから、格闘訓練を始める。

まず、アリが前に立って言う。

「今日はボクシングを教える。パンチを急所に一発当てるだけで相手を立てなくできる。ただ、パンチを出すだけで倒せない。ボクシングがどう言うものか教える。」

アリは地面に肩幅より少し大きめの円を描いて、その中に入る。

「俺はこの円から出ない。5発、俺に殴って来い。一発でも俺の顔に当てられたら、今日の夜、旨い物たらふくおごってやる。たった1発でもいいから当ててみようと言う奴、いないか?」

防護団に入ろうとする者は、もともと腕力に自信がある。

小さな円から、出ないと言っている。しかも、もし当てることが出来たら食事をおごって貰える。

(当たらなくても、恥じをかくだけだ。もし当てれば飯が食える。)自信ありげに数人の新人が前に出る。

どれも一癖ありそうな面構えだ。

「よしお前だ。かかって来い」アリはその中でも体格の良い若者を指名する。

まだ、背丈こそアリよりのっぽだ。(やってやろうじゃないか)とオーラが出ている。


訓練の前、面白いことになってきた。ウリューもサメロも何も言わすアリのやり方を見ていた。

そして新人たちは二人を取り囲むように人垣の輪を作る。

一方、のっぽ君は両腕を回してやる気十分だ。

「いつでも、いいぞ」アリが声かける。

「や!」のっぽ君が思い切りの右ストレートを顔面に狙う。

だが、アリは身体をわずかに傾けると、パンチは空を切る。

「くそ!」今度は右手と見せて左手のフック。新人ながら、単純な奴ではないようだ。

でも、アリは身体を逸らすとまたも空振り。

「ふん!」今度はのっぽ君は左右のパンチを連続に繰り出す。

それでもアリは難なく躱してしまう。

そして最後の一つも当てられなかった。


「よし、あと5回チャンスをやる。でも、全部外したら、今日の訓練は手抜きしない。それでもやって見るか?」

「やります!」

のっぽ君は意地張なのだろう。このままで引きさがれないと顔に書いてある。

でも貰ったチャンスをつかめなかった。

アリは本当に円から出なかった。それどころかほとんど足を踏み直さない。でもまともに一つも当たらない、いやかすりもしなかった。

のっぽ君は思い切り力を使ったのだろう、肩で息をしている。

(先生はこんなにも強いのか)驚嘆する。それは全員同じだった。


「いいか、皆、よく聞け。俺はこの円から少しも出なかった。足もほとんど踏み変えなかった。だが、こいつは1発も当てられなかった。何故だか分かるか?俺はこいつのパンチだけを見てなかった。肘、肩、腰など身体全体を見て、さらにメモの動きも見ていた。そうすると相手の狙いが分かる。だからおれは彼のパンチを一つも受けなかった。ボクシング、それだけでなく格闘術は自分の力だけでは相手を倒せない。相手の狙い、動きを利用して倒すんだ。このことをしっかり覚えておけ!」


それから本格的にボクシングの練習が始まる。内容は結構きつく、瞬発と持久力を高めるため、20mの距離を往復させるものだった。

「まずボクシングの前に、耐久力の訓練だ。俺の合図で全力疾走しろ!」手を叩く。全員が走り、20m行ったところで止まる。

「よし、戻れ!」ゆっくりと戻り始めた所で、また合図があり、全力疾走。

その繰り返しだった。

10往復した所で、全員が昨日のように足が止まる。

それでもアリは終わりにしない。

20数回越えたあたりで全員が地面に崩れ、もう誰も立っていられなくなる。

「よし終了」

アリの声は悪魔じみていた。


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