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銀星狼伝説  作者: 寿和丸


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第23話 訓練

「でも、よくこの町の治安が保たれているのはどうしてだ?」ウリューは気になったことを口に出した。

無法の惑星と言われる通り、この星には政府らしきものがない。それなのに、この町は意外と争いごとが少ないように思えた。酒場でたまに酔っ払いが暴れ出すこともあるが、それ以外目立つ喧嘩騒ぎがないように見えた。

「一つは此処の自警団が真面目に働いていることさ。この町の自警団は警察の役割を担っているからだ。俺は前に、こっから100キロ離れた町に行ったが、もうどうにもない有様だった。自警団はあることはあったが、誰も働かない。もう強い者が正義の状況だ。路上で喧嘩が起きても、誰も仲裁に出ないし、見て見ぬふりをするだけだ。露天商が乱暴者に脅され金を毟られているのを見て、俺はこんな町はダメだと思って、すぐ離れた。この町の自警団はよく働いている。」アリが簡単に説明。

「それとね、その自警団をうまく町長が動かしているのが大きい。いくら自警団があっても、その自警団が働かないといけない。自警団が真面目に働いているのは、しっかりと給料が出ているからよ。誰だって、給料が出なくては誰も働こうとしないからね。あの町長はなかなかのものよ。」サメロが補足する。

「そうだよな、今度の防護団でも給料体系はしっかりしている。俺が防護団に入ったのも給料に心配がないからな。」


ウリューもこの町で働きだしたが、給料はしっかり出ており、生活に困ったことはなかった。

「この町は、治安が良い。それで、入って来る者も多くなっている。この数年で町は急激に人口が増えている。町長は星都に対抗するため、防護団を編成しようとしている。これはただ、都と戦うだけの為ではない。この町の治安を考えてのこととみてよい。ところで、ウリュー、この町が近隣から比べ、比較的うまく機能しているのは何だと思う?」

「それは町の行政がいいからだと思うが。」

「半分正解だわ。この町は行政がきちんとしているからうまく運んでいる。でもね、それを支える収入がないといけない。この地方の地下資源は豊富だし、農産物も良く取れる。そこに学者や所長のような有能な人物が集まって来て、今新たな産業は起きている。食い物と仕事があるから、この町は大きくなっている。」

「ああ、この町は凄く発展し始めている。ただ、それで、都に目を付けられ高い税金を吹っ掛けられ始めた。この町と都は必ずぶつかるぜ。」

飲み会はアリの物騒な言葉でお開きとなった。


その1週間後、町長の募集に応じた者達は30人を超えた。皆若い者ばかりでやる気に満ちている。

「いっぺんに大勢押しかけられたら、対応に困ったが丁度良い数だな」アリは満足げだ。

その隊員たちを前にして、サメロが壇上に立つ。

「お前たち、よく集まってくれた。私は団長のサメロだ。この町は今まで、自警団だけで町の治安が保たれてきた。だが、それだけでは安心できなくなった。近隣には野盗、盗賊が跋扈している。この町もいつ盗賊の集団に狙われてもおかしくない。それに対処するためには自警団だけでは難しくなった。諸君は厳しい訓練を受け、どんなことがあってもこの町を守れるようになって貰いたい。」彼女は本当の目的を最初から話はしない。

都と戦いなるかもしれないなんて言ったら、すぐ辞める者が出て来る。ただ、厳しい訓練があることを伝えておいた。


訓練が始まった。新人達をまず走らせることにする。

「みんな、俺について来い。」ここでウリューが先頭にたって走ることにした。チョロも隣で走る。

ただ、森で鍛えてきた者と新人たちとでは明らかに走力が違う。ウリューはそんなに速くしたつもりはなかったが、400mのトラックを1周するだけで遅れる者が出る。

「お前ら、体がなまっているぞ」後ろを振り向いて叱りつけるが、新人たちにはきついようだった。必死になって走っているのだが、もう顎が上がり始め、足の伸びがなくなっている。

5周を過ぎると周回遅れの者が現れ始めた。

この足の遅くなった隊員たちをチョロが後ろから急き立てる。まるで、牧羊犬に追いかけられる羊の群れだ。最後尾に行って、遅れた若い団員の尻を噛みつくかのように追いたてる。

足を止めようとした者達もチョロの吠え声に、びくついて何とか足を進めるのだ。


これを見て、アリが笑いをおし隠して言った。

「俺よりも、犬の方が、鍛え方がうまいな。あいつら必死に走っている。訓練はきつすぎてもだめだが、楽なのはもっと悪い。落伍するかしないかギリギリのところで鍛えるのが丁度いいんだ。」

みんな、全速力で走ったことはあるが、こんなに長く走ったことのない連中だった。

苦し気に顎を上げ、口を開き、いまにも足を止めそうになる。

だが足を止めるとチョロが猛烈な勢いで吠えたてる。これにびくついて歩いてでも足を前に出している。


それでもなんとか全員が10周を走り終えることができた。皆、息絶え絶えといった状況で、地面に寝転がっている。

「みんな、よく頑張った。」ウリューも満足げに褒めた。

これで1日目の訓練は終わった


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