第21話 町長からの依頼
半年が経過した。
ウリューはエドと同じ事務所に所属している。
妻に会いに行きたい気持ちは変わらないが、この無法惑星から飛び出すのがほぼ不可能なのが実情。ここで生活するため、パイロットをしていくのが一番合っていた。その間にこの星の現状を知るようになる。
そして、帝国軍からは重要指名犯として捜索されている事実も分かる。
「どうやって、帝国の眼を盗めるか」それが今の彼の関心事であった。
無法惑星に移れたが、残してきたリサを忘れたことはない。なんとしてでも迎えに行きたいと考えるが、指名手配されている状況では、宇宙港に行くことさえ困難だった。迎える手段は閉ざされていた。
そんなウリューに町長から呼び出しが来る。
理由など知らされないまま、町長室にいくと、そこには隻眼の女性と、義足の男がいた。
「紹介しよう、サメラとアリガントだ。二人とも連合国の軍人だった。」と町長が紹介する。
サメロは長身の痩身の女だった。
左の眼光は鋭く、一目で相手の素性を見抜く様だ。おまけに黒い眼帯なので一層、凄みが増す。
経歴も凄い。まだ30過ぎたばかりなのに、中佐にまで昇進していた。
「よろしく」と挨拶を交わしてもにこりともしない。
もう一人の義足の男アリガントは大柄で年はウリューと同じくらいだ。
こっちは握手しながら無精髭の奥から白い歯を見せてくれる。
「3人に来てもらったのは、自警団を作ろうと思っていて、それに協力してもらいたいからだ。」
「自警団?もうあるじゃないか?」そう言ったのはアリガント。
「そうだ、確かに自警団はある。だが、これは獣から町を守るためだ。今度作ろうとしているのは他所からの侵略を防ぐためだ。」
「他所からの侵略への対抗?それって軍隊じゃないか。」
「そうだ。町は地下資源は豊富にあって、それで賑わっていたが、近年自動車などの生産するようになって、他所よりはるかに豊かになって来た。その為に人口も他所から多く入るようにもなったが、住民同士の揉め事も多くなった。その為に治安を守る必要が出てきた。」
「それなら、警察があるじゃないですか?」アリガントが食い下がる。
「確かに警察はあるが、はっきり言って、実力不足だ。そして都からまた自動車を送れと言って来た。去年20台送ったのにまたもだ。」
その声には怒りが滲んでいる。
「都はこの町に高い税を要求し、税が払えなければ車を寄越せといってきた。」
「なんだ、それ。」
「車を造っている事務所は本質は町でやっているようなものだ。事務所には払えないような税金を課して、払えなければ自動車を寄越せと言って来た。それの受け入れに軍隊を派遣するとも添えられている。」
「それは脅しじゃねぇか!」
「その脅しを、この町は拒めない」
「だから、自警団を造ると言ってるんですね?」初めてサメロが質問する。
「そうだ。建前はあくまで自警団だ。君らは軍隊経験がある。その経験を生かしてくれ、自警団を鍛え上げてくれ。」
「都の軍人は何人ぐらいですか?」
「300人ぐらい。多くても400は越えないはずだ」
「こっちで募集して、100人は集められるな」
「それは問題ない」
「私は町長に協力する。お前たちはどうする?」サメロが問う。
「俺も、いいぜ。この町には世話になっている。軍隊の経験が生かせるなら面白い。あんたはどうする?」アリがウリューに聞く。
「俺も協力しよう。」
「なら、3人で手分けすれば100人を鍛えられる。星都からこの町に大軍を派遣できないからそれで十分だろう。」計算し確認するようにサメロ言った。
「よろしく頼む。町も出来る限りの後押しする。」町長が安堵して言った。




