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銀星狼伝説  作者: 寿和丸


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19/28

第19話 工場見学

いつも読んでいただき有難うございます。前の話(第19話)で誤字を訂正し、1行加えました。よろしければご確認ください。

翌日、町長に挨拶する。

町長と言うのはこの町の代表者で、選挙で選ばれるらしい。

議会というものはなく、権限の多くを町長が握っていることになる。つまり相当な権力者と言うことだ。

そんな人物に挨拶に行くのは、少し緊張する。


「ウリューさん、起きてますか?」元気よく、エドが迎えに来てくれた。彼は町に来て元気を取り戻しているようだ。

二人でまず事務所に顔を出す。

「やあ、昨日はよく眠れましたかな」所長が穏やかに迎えてくれる。

その所長に連れ立ててもらい、町長に挨拶することになった。


「いやあ、エドお帰り、よく無事で帰って来てくれた。ウリューさん、エドを助けてくれてありがとうございます。エドが行方不明になった知らせを聞いて、心配でたまりませんでした。あなたのおかげです。本当にありがとうございました。」町長が厚く礼を言う。

町長はシスラーと名乗って、40手前、背が高く、瘦身で所長と並ぶと好対照だ。精悍な顔つきで、笑顔で迎えてくれたが、目の奥に鋭い光を放っている。なお所長の名はライアンという。

「早速だが、エド。森をどのくらいまで調査出来たのだ?」

「町に近い、東南側の半分近くまで、調査出来ました。森の中央近くまで来た時、飛行機の調子が悪くなって墜落して、北の方は調査出来ませんでした。森の半分だけですが、調査記録はありますので、後で報告します。」

「目立つような地形はなかったか?」

「大きな川と断崖があったほか、森の向こう側には高山の山々が見えました。頂上付近は雪に覆われており、相当な高さだと思います。あれは今まで、報告されてない未発見の山です。」

「そうすると森は南と北の山で挟まれていると言うことになるな。」

「ええ、盆地のような地形ですね」

「それだけ分かっただけでも、調査してもらった甲斐がある。報告書を期待するよ。ところでウリューさん、エドとばかり話をしてすみませんでした。この町は農産物や鉄鉱石などの集積地として発展してきましてね、近年になって、自動車などを作り出して様変わりしてきました。昨日来たばかりでお疲れでしょうが、どうぞゆっくり、この町をご覧になってください。」

それで、対談は終わる。あっけないが、有益なものに感じられた。


その後、自動車を作っている工場に行く。

「ここでは主に組み立てと主要部品の加工を行っている。」サトーが約束通り案内してくれた。

「エンジンはどうなっているんですか?」

「一部の部品は外部に任せているが、本体は此処で作っている。」

加工現場を見ると、工員たちが真剣に作業に取り組んでいる。

時々話声や笑いも出るが、手の方は止まってなかった。

「ロボットが使えないから、人手に頼るしかない」とサトーは自嘲気味に話すが、その顔にはロボットなしでもここまでやれるという、自信が見えた。

ボール盤、旋盤、フライス盤などの加工機械はあるが、どれも手作り感満載だ。それだけ、工夫され手になじんでいるように思える。

ベルトや歯車などがむき出しな上、明らかな加工ミスで出来たと思われる歪な穴も見える。お世辞にも最新的とは言えない。ただ、工場はこじんまりしているが、備品は整然としていて、清掃も行き届いている。

「ネジやナット、板金など既製品は外から手に入るから、ここでは車体シャーシやエンジンなどの他所から手に入らない物を作っている。次に組み立て現場に行って見よう。」


組み立ての現場は更に印象的だ。

5,6人が一つの車体を組んでいる。人は少ないが手際よく作業が進んでおり、動作もゆっくりとして急いでいる様子が見えないが、確実に作業をしようとしている。ネジ一本だって、真剣に締めようとする姿勢が現れていた。


「ここでの生産数はどのくらいなんです?」

「月に7,8台だ。」

少ないように思えたが、この町の人口から言って、それくらい販売量で十分行き渡るのだろう。



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