第13話 エドの依頼
ひとまずウリューはエドを小屋に連れて来ることにする。
前は獣を警戒して小屋を樹上に作っていたが、今は獣の方がウリューを怖がり近寄らなくなっているので、地上にある
「狭いが一通り、生活できるようになっている。ここなら獣など心配ないから、事情を聞かせてくれ。」
「分かりました。私は調査事務所に技師として勤めており、エリュシーの町長の依頼でこの周辺の地形を調査しています。ここの森は昔から“禁断の地”として入ることを許されておりません。この森に入ろうとして多くの人が命を落としてきたからです。私は空からなら安全にこの森を調査できるのではと考えて、飛行機を使ってこの森を調べていたのです。予想通り森の周辺を飛んでも、何も問題なかったのですが、森の奥に入ると、急に飛行機のエンジンが止まってしまい、墜落してしまいました。」
「その飛行機だが随分旧式だよな。あんなものが今でも飛んでいるなんて驚いた。」
「ええ、飛行機は原始的な構造です。でも、この星で製造されており、ここででは一番よく使われているのです。実際にこの辺りにくるまで順調だったのです。でもこの近くに来ると、エンジンが急に不調になってしまい、緊急避難装置によって、私は飛行機から放出されました。なぜかパイロットのほうは緊急避難出来なかったようです。後はウリューさんに助けられるまで気を失っていました。」
エドの言葉には嘘が感じられない、信用してよいと判断した。
そのエドも翌日になると、墜落したショックから立ち直れたようだ。ウリューの事にも関心を示すようになる。
「ウリューさんはこのジャングルで長く暮らしてこられたのですから、このジャングルを踏破するのは難しいことではないでしょう。どうして、町を目指さなかったのですか?」
「俺が乗っていた船は事故で故障し、やっとのことでこの星系まで来た。だが、安全にこの星に着陸出来ず、地形など確認もしないままこの森に墜落した。だから、この森のどっちに行けば人の住む方なのか全く分からない、このジャングルほっつき歩けないだろう。」帝国の軍人であることも、連合軍に撃たれたことも黙っていた。
「ああ、それもそうですね。」エドは疑問を持たないでくれる。
「お前こそどうなんだ。飛行機が墜落したんだから、お前を探しに向こうから来てくれないのか?」
「いや、ここは無法の惑星ですよ。飛行機が落ちたくらいで探しに来てくれませんよ。捜索にどれだけ費用がかかるか分からないのに、救援隊を組織するなんて考えられません。」
「ふーん、そんなもんか。だが、そうするとお前はどうするんだ。俺と一緒にここで暮らすか?ジャングル生活も悪くないぞ。」
「いや、そんなのは僕には無理です。僕は町で暮らしたい。」
「だったら、どうするんだ。お前は自力でジャングルを走破するしかないぞ」
「僕一人でこのジャングルを歩いて行くなんて、無理です。大きな獣だっているんでしょう?」
「ああ、いる。」
「それなら、僕を連れって貰えませんか?ここから町へは遠いですが、方向は間違いなく分かります。僕の持ってきた機材を使うと、近くの町への方向が分かります。コンパスを使えば間違いなく、町に行けます。僕と一緒に町に行きませんか?」
「その方向には山や谷があるのか?」
「上空から見ただけなので、詳しくは把握できていませんが、大きな川や山の配置は分かっています。」
「その川や山を越えないとならないんだな?」
「はい。行って見ないと分かりませんが、決して越えられないとは思いません。」
「方角は間違いないな?」
「ええ、問題ありません。コンパスを見れば方向は絶対間違いありません、何処にいても大丈夫です。」
「距離はどれくらいある?」
「およそ2000キロですね」
「1日で10キロちょっと歩くとして、200日か。最短でも半年は覚悟しないといけないな。」ざっと、計算して見る。
「1日で10キロぐらいしか歩けませんか?」
「藪や獣を払いながらだ。道を歩いて行くのとは違う。断崖絶壁に当たったら遠回りしないとならない。そのくらいのペースだろう。」行く手は遠い。ただ、もうこの時は決めていた。ウリュー自身ジャングル生活に飽きて、人の住むところで暮らしたいと思うようになっていた。
「分かった。お前に同行する。道案内は頼むぞ。」
そう強く言った。
ウリューにしてもようやくジャングルを抜ける手段が見つかった。いつかリサのもとに帰れる希望が湧く。
その夜、光の球に会いに行く。一人で暮らしているとどうしても誰かと話したくもなる。月に一度ぐらいの頻度であるが、そんな時には光の球と話していた。
「このジャングルを離れることになり、しばらくは此処に来られなくなった。別れを言いに来た。」
「お前の眼を通して、外の世界が分かるのだから、別に構わない。」光の球はウリューとの考えを予想していた口ぶりだ。
「そこで、確認したいことがあるのだが、飛行機はお前のいる穴近くまで順調に飛行していたが、穴の上空でエンジンが不調になったように見えた。何かこの穴と関係あるのではないのか?」
「私はうるさいことを好まない。それだけだ。」それだけ言って、後は黙ったまま何も話さなくなる。
が、ウリューの疑念は強まった。




