第三話 「騎士学院を目指して」
どうにか、書けましたので、投稿です。
(むう、まだ短い気がする…)
シークからの試験に合格した日の翌日、いよいよ学院に向かう日となり俺は自分が育った生家と言える小屋の前にシークと一緒に立っていた。
「ほい、これが必要なものです」
「ありがとう」
シークから渡されたの皮袋の中には騎士学院のある街までへの地図に加え、竹のような材質の木で作られた水筒にナイフ。それと入学に必要なお金が入った袋を預かる。袋の中には入学に必要な金貨が入っており、金貨の価値は一枚で地球でいうところの一万円で、それが十枚入っていた。
「それが入学に必要なお金です。無くさないでくださいね?」
「分かってるさ」
シークからの言葉にそう返しつつ、しっかりと革袋の中に金貨の入った袋を入れる。
この世界の貨幣はもちろん金貨以外の貨幣はあり、上から魔金貨、金貨、銀貨、銅貨、石貨となっており、上から順に十万、一万、千円、百円、十円だ。因みに魔金貨に関しては国家予算レベルで使われるものらしいので、俺には差ほど関係がなかった。
そして、入学に必要なお金を受け取り、他は無いだろうとシークを見ると、シークは忘れていたといった感じでもう一つ袋を取り出して、差し出してきた。
「それと、ジーク。これは君が倒した魔物の報酬です」
「え?」
確かに、シークが訓練と称して魔物を倒した事が何度かあったな、と思い出しながらシークが差し出してきた袋を受け取り、中を見てみるとそこには金貨が四枚、銀貨が八枚、銅貨と石貨がそれぞれ六枚づつ入っていた。
「シーク、これって?」
「これは、君が倒した魔物の素材を冒険者ギルドで換金して貯金しておいたんですよ。だからこれは、貴方のお金です」
「…いつの間に」
「君が、寝ている間にですよ?」
「抜け目がねぇ‥というか、アンタ、ギルマスから特例を貰ってたんだな?」
「ええ。むかし、少しばかり縁があって」
茶目っ気交じりにそう言うシークに俺は若干苦笑い気味の苦笑を思わず浮かべつつ、シークから教えてもらった事を思い出す。
まず、この世界の冒険者ギルドに所属する冒険者とは、端的に言えば傭兵、または何でも屋と似たような感じだ。荒くれ者の集まりと言う奴もいるが、実際は誰でもなれるわけではなく、ちゃんと冒険者ギルドの審査を合格した者だけがなれる職業というわけだ。
もちろん、罪を犯せばギルドが動き出すので滅多とそんな事をする馬鹿はいない。
そして冒険者ギルドの仕事には大きく2つの仕事がある。一つは依頼された薬草の採取、魔物を討伐で、そしてもう一つは商人から依頼される護衛などだ。前者は謂わばギルドに依頼される魔物を倒したり、薬草を採取するモ〇ハ〇みたいな誰でも受けれる感じだ。
そして、後者の護衛では商人達が護衛をギルドに依頼する際に指名をしてくる場合もあるそうだ。勿論、指名で無い場合は複数の冒険者で依頼を受けると言うことがザラらしいが。
だか、そんな事よりも重要な事があった。それはシークがギルドから受けている【特例】だ。
(本来のギルドは、登録をしていない者がギルドで換金することは出来ない)
それは、ある意味で当たり前だった。何処から来たのか分からない奴が素材を換金してくれ、と言って分かりました、と換金するような組織は無い。
だか、冒険者ギルドに関してはそこにある抜け道があった。それが【特例】だ。
(ギルドの長であるギルドマスターが信用に足る人物だと認めれば、特例として冒険者が持っている登録証を貰え、更にほ同じように素材を買い取ってもらい、換金できる)
そして今、シークはその特例を貰って人物であるという事が、十年経ったいま初めて判明したのだった。個人的に最早呆れるのに慣れて苦笑いしかでないレベルだ。まあ、シークは隠すつもりはなかったようだが。
(それにしても、一体、シークは何者なのやら)
内心でそう思いながらシークを見る。赤ん坊の時に拾われてから今日まで一緒に過ごした俺が知る限りでもシークは謎が多い男だ。
少なくとも、剣の腕だけでもチートレベルであるのに、更にそこに冒険者ギルドのギルドマスターとも顔見知りと、中々に顔が広いことを伺わせるという、シークに関する新たな謎がまた増える事になってしまった。
「さ、それじゃあ行ってきない。それと、無茶をしてもいいけど、無茶の範囲内に留めるように注意して貰えると、師匠として嬉しいですね?」
「分かってる。無茶の範囲内に留めるように努力する」
「それならいいです。じゃあ、頑張ってきなさい」
そう言って差し出されたシークの拳に、俺も拳を当てる。
「ああ。それじゃあ、行ってくる」
そう言って俺は、育った生家を出発し、地図を頼りに騎士学院へと向かい始めたのだった。
* * *
「やれやれ、ようやく行ったか」
十五年の時を過ごした、最早息子と言っても変わらないジークの姿が見えなくなるまでその姿を見送った後、シークは小屋に戻り一人静かにお茶を飲んでいた。
「あの子が居ないだけで、ここがこんなに広く感じるなんてね…」
思い返せば、ジークを拾ってからは中々に忙しかったが、同時にシークには充足感があった。そしてある日。
「シーク、剣を教えてくれ」
ジークからそう言われた日から今日に至るまでの日々は確かに楽しい日々で、その成長を見届けるのもまた、楽しかった。
「っと、ジークが居ないのなら、これは、解いても良さそうだね」
そう言って、シークが人差し指を縦に振ると、空間が裂け、そこから一本の杖を取り出し手に取ると、杖を取った手を起点にシークの体全体の皮膚の表面に亀裂が生えていき、それが全身に行き渡るとガラスが割れたかのような破砕音が響くとそれは剥がれ落ち、そこに現れたのは白いドレス、ドレスの上の肩から腰までの長さのローブを纏い、腰まで伸ばした白髪と蒼い瞳の美女が姿を表したのだった。
「ふぅ、十五年振りだね」
そう言いつつ、シークは長年の相棒にして、自らの『心装武装』である杖を軽く撫でた後、テーブルに立て掛け、椅子に座ると再びお茶を手に取る。
「さて、それじゃあジーク。見せてもらおうか。君の物語を」
それは、新たな物語を紡ぐであろう、新たな星を見つけたかのようにシークは何処か楽しげにそう言うと、再びお茶を口にした時だった。
「あ。何も離れたところで見なくても、近くで見ればいいだけじゃないか!」
名案とばかりに、シークは立ち上がると、手早く荷物を纏め始める。
そして、まだ気が付いていなかった。輝きを放つ星と言うものは、引き寄せ、魅せられるのだという事にシークはまだ、気付いていなかった。
前回の投稿より一月が過ぎましたが、書けましたので、投稿しました。
次回はジークの騎士学院までの短い旅の部分を書き出せればと思っています。どうか、気長に楽しみに待って頂けると幸いです。それでは、今回はこれで失礼します。
書ければ今月にもう一度投稿を考えていますが、正直、未定です。申し訳ありません。
評価、ブックマーク、感想など頂けると嬉しいです。
それでは、失礼します。




