いらない何も
瞬間移動により魔王の寝室?に移動した俺たち
……普通玉座のある謁見の間みたいなとこににでるんじゃないのか?
「くさッ!」
猫や獣人より早く嫁が反応する。カビと思春期特有の臭いで部屋は充たされていたのだ。
「お゛ぇー」
嫁さんの悪阻を懐かしく思い出しながら換気をする。
魔王はちょっとショックを受けているようだ
「ちょっと皆、部屋の外に出て、我輩すぐに片付けるから」
「いや、場所変えようや……」
魔王城はゴミと埃だらけど全く手入れがされてなかった。配下も長いことおらず掃除もしていないらしい。
謁見の間も物置小屋と化していた。
「魔王……お前普段どうやって暮らしているんだ?」
「我輩、最近は寝室しか使っておらぬな」
「めしと風呂と洗濯は?」「我輩瞬間移動つかえる故、他所の家から失敬するのだ。
風呂も同じく。洗濯も一緒にして風魔法をすれば時短になるのだ。
魔王の知恵袋であるな」
「……」
「あっ、トイレも他所の家でする故トイレは意外と綺麗であるぞ、あとキッチンもだ。水回りは気になるのでな」
「……」
こうして俺たちは魔王城の大掃除を始めたのであった――
ムーニンとキーヨは大物担当で城の外に不要物を運びだす。
俺と嫁は端の部屋からゴミをカキ出していく。
「パゥ!」
舞は埃の被った美術品を片っ端から叩き落として壊し ゴミを増やしている。この程度は想定内、ご愛嬌だ。
ガンちゃんは働き者だ。お蝶は埃で咳き込んでるから外に避難しといで。
芋虎はお外でお蝶と遊んでな。
「あ、それは今はまだ使わないけど勿体ないからとっておいて。あっ、それは――」
「だまれ、ガンガン捨てるぞ。いらない何も捨ててしまおう♪の精神だ」
こういう時はとにかく思いきって捨てる事が大事だ。断みつ……じゃない断捨離だ。どうせ長い間使ってないならこれからも使わないのだ。
「魔王、お前は寝室を片付けろ、見られたくないものも今のうちに何とかしろ」
……武士の情けである。まあウンジャラ毛かハンジャラ毛かよく分からない毛がたくさん落ちていて入りたくもない。
――ふう。
身体強化をマックスにした俺たちの大掃除はある程度終わった。
ムーニンが舞にも魔法をかけたのは誤算であったが魔王以外のゴミは大方城壁のそばに固め終わった。
魔王は細かいところに時間をかけ寝室の掃除は全然進んでない。
魔王が来てごちゃごちゃ言う前に燃やしてしまおうか。
意外にも?火魔法を使えるキーヨに燃やしてもらう。
「おぅーおぅ、おーおーおおー♪」何の歌かは分からないがキーヨは本人のお気に入りの歌を口ずさんでいる。
俺と嫁は一息ついて座り、舞はじっと炎をみている。
『パゥ……(きれい……)』
舞ちゃん火がきれいだねー。でも火遊びはダメだよー。
ちなみに我が家は火事対策でオール電化である。ガスとストーブはあまりにも危険なのだ。
――火力も最高潮に達した頃
「アッチーー」
火だるまになった何者かが燃え盛るゴミの山から飛び出した――
片付けられないのも脳の障害のひとつなのです。




