魔王城へ
――力が欲しいか
厨二羅患患者をくすぐる魔法の言葉もこの状況ではまっこと惨めである
いっそ、利用するだけ利用してポイしたろうか、などと考えてしまう俺を誰が責める事ができようか。
……はあ、まあとりあえずこの変態はどうにでもなるな。
嫌だけど駄々こねて暴れられたら困るから話だけでも聞いてやるか。
「魔王、力はとりあえずおいておこう。」
「何、ち、力が欲しくないのか?」
「欲しくないわけじゃないぞ、むしろ可能な限り全部欲しい。」
「全部って……我輩は男であるぞ、さすがに心の準備が……」
「……話を続けるぞ」
「うむ、我輩も覚悟決めたぞ」
「おい魔王、二度と『覚悟決める』って言葉使うなよ、それは俺の決め台詞だ」
「我輩たち似た者同士じゃの」
……もうどーでもいーや。流していこー。情報収集に徹しよう。
魔王はそういう人格的障害のある人なのだと思えば少しは優しくもできるだろう。実際発達障害とかもあるんだろうし。
まあこんな魔王の事も受け止めてやるさ。
で悪さをやめさせて村人や世界の連中と仲良くさせるよ。それが一番良い事だろうさ。
俺はまあ大抵の事は受け入れるからな。
舞の障害を受け入れから俺の世界は一変したのだ。
俺は思い出す。
スーパーで街中で時々ギョっとするような行動をする子供。
その親に『躾も出来ないダメな親』と切り捨てていたものだがそういう子もいる。
舞も突然奇声を上げて周りの大人たちをびっくりさせる。俺は驚いた人にペコリとする。
おおよそ人が出さないような猿の鳴き声のような、超音波のような発声だから人目を引くのは仕方のない。
分かっているけど思わず声が出てしまう、らしいのだ。
自閉症は100人に1人位の割合で発症するとされている。程度の差はあれ結構多いと思わないか。
ただ、ソレっぽい人をそれほど見ないのは周りの迷惑や奇異の視線が気になって姿を見せないという事かもしれないと思っている。
俺はその点では慣れが必要だと考える。外人さんと一緒だ。初めは珍しさとかもあろうが慣れてしまえば、だ。
まあうちの娘はスーパーではマンツーマンディフェンスを強いられるから疲れるんだがな。いざとなったら伝家の宝刀、肩車固めだ。
小学校高学年位までは肩車出来るように健康体でいなければな。
「魔王、お前んちに皆でいっていいか?」
「うむ、よいぞ、特別じゃ。いいお茶と最近流行りのマヨネーズでもてなそう」
……マヨネーズは直食いするんだろうか?
「それでは皆のもの、近うよれ、瞬間移動するぞ」 「瞬間移動?」
嫁が食いつく。
魔王の城で瞬間移動の特訓が始まるなこれは。
以降俺にプライバシーがなくなる事が確定したのであった。




