力が欲しいか
手は出さないと誓え。俺が話し合いの口火をきった。
「む、『誓い』か、我輩はただ話し合いがしたいだけなのだがな……よかろう、誓約がいるならば誓おう」
……『誓い』という言葉は重いようだ。
牽制のつもりであったが思いの外、効果があったのかもしれない。
「魔王よ、それで俺に何のようだ」
「なあに、貴様らは外の世界から来たというではないか、だから外の世界の話を聞きたいだけだ。」
「本当にそれだけか?」
「それだけだ……あと、できれば友達に(ボソッ……」
…………は?いっておくが俺は難聴系主人公じゃないからな。このおっさん友達とかいってますけど……
ひょっとしなくてもこいつもまた優しい世界の住人なんだろう。
大方みんなに意地悪しすぎてボッチになったものの引っ込みがつかなくなったってとこか……小学生か、と。
俺は脱力しおざなりに返答する
「外の事か……何から話せばいい?時間がかかりそうだ」
「成る程、そうであるか。ならば我が居城に来るがよい、特別に招待しようではないか」
うーん、魔王ウッキウキじゃんか。断りにくくなってきたぞ。
魔王に謝らせてみんなと和解エンドにしたらみんなと友達になって幸せエンドって感じか。
「お前ん家に行くって事か、まあ良いんだが……ところでお前はどんな悪さとかイタズラをしてるんだ?」
「小さい女の子を誘拐してくすぐるとかじゃな」
「死ね、今すぐアパートの階段から転げ落ちてトラックに轢かれてバラバラになって死ね」
魔王は狼狽え俺にすがってきた。
「なんでそんな酷い事いうのじゃ、貴様と我輩はもはや友達じゃろ!仲間じゃろ!」
「友達でもなんでもないだろ!俺をロリコン仲間にすんじゃねーよ!」
魔王には死か適切な再教育が必要なようだ。
「すごい、耕作君、あの魔王を圧倒している……」
ムーニンがなんか勘違いしている。
「キモ……触りたくもない」
魔王が嫁からボコーされる事はなくなったらしい、卑怯だろ。
「真人、いや耕作よ。――力が欲しいか――」
こんなに惨めな『力が欲しいか』がかつてあっただろうか。
俺は魔王に片膝をついて待機するように命じ新技『閃光天翔馬』を喰らわせるのであった。




