93.アルディアータ共和国という国
「国連担当長官はこのガジス王国の一件をどう考える」
「そうですな。我が国は直接的な被害を被ったわけではありませんしとられて困るような情報もありませんので今回の一件は中立の立場でいいかと考えます」
場所はアルディアータ共和国の会議室である。
そこでアルディアータ共和国の大臣と各長官、エルフ国民議会議長らがあつまって会議を行っていた。
アルディアータ共和国はエルフの国である。
エルフは人間に比べて遙かに人口が少なく、アルディアータ共和国の総人口は十万人と小国家であった。
アルディアータ共和国では20歳以上のエルフ全員にエルフ国民議会という日本で言うところの国会にあたる議会の議員になれる権利が「犯罪を犯すなどの不法行為をしていない」「行政職の公務員ではない」などの複数の条件をクリアしている限り与えられる。
しかしそれでは議員の人数が多すぎるためくじ引きで選ばれた300名が議員として国政を担っている。
そして毎回の選挙で全員を入れ替えると立法府が混乱する恐れがあるので10年ごとに半数が入れ替えとなっており一回の任期は20年であった。
これはエルフが長命種だからできることである。
また新しい議員が全員新任だとくじ引き後最初のエルフ国民議会が混乱する可能性があるので150人のうち30名ほどは一度議員の経験があり尚且つ議員時代に何かしらの功績がある者とするなどの対策がとられていた。
法案は一応例外的にエルフ国民議会から行政側に対して法案整備などを要求する仕組みもあるが、基本的には行政側から提出されその可否をエルフ国民議会で決めるというスタンスであった。
対外的な首長はエルフ国民議会の議長が務めている。
議長はエルフ国民議会が二度目の議員経験者のなかから多数決で決定することとなっていた。
ちなみにアルディアータ共和国の軍隊は軍に就職した者は指揮官や将校、諜報員として軍に勤務しているが、一般人は徴兵制で義務教育を終えた後一年間訓練で軍に入隊しその後は予備兵士として暮らす。もし戦争などが発生すれば即座に正規の軍人として徴兵が行われ訓練は一通り終えているのでそのまま兵役に就けるというわけである。
その軍の最終的な指揮権はエルフ国民議会議長が持っていた。ただし軍事オプションを使用するかの判断はエルフ国民議会によって決められる。
各分野の大臣は、その分野を管轄する行政の長が兼任する形である。
つまりアルディアータ共和国外務省の事務方トップが外務大臣になることになる。
アルディアータ共和国に正規の省は「外務」「軍務」「財務」「内務」「公安」の五省と呼ばれる五つである。
五省の中のその分野に当てはまる庁が省の下部組織として存在している。
例えば国連担当庁などは外務省の下部組織であった。
その長官も庁事務方のトップである。
そしてエルフ国民議会議長と各大臣と各長官が集まっているこの会議は今後のアルディアータ共和国の在り方を決める重要な会議であった。




