74.混乱
「「「、、、」」」
一方でアウトバーナー男爵邸地下牢では誰一人言葉を発さなかった。
居るのはカイラ達三人と見張りの衛兵の四人である。
カイラ達は武器をすべて取り上げられていた。
「どうだ?そろそろ情報を言った方が楽なんじゃねぇか?」
「「「、、、」」」
「チッ。喋らねぇか」
衛兵は何度目かになる質問をしていた。
しかしカイラ達はその質問は無視していた。
「喋らねぇのはいいが、こっちには人質がいることを忘れるなよ」
衛兵は吐き捨てるように言う。
ビクンとシルが震えた。
「大丈夫。大丈夫だから」
カイラはシルに耳打ちをした。
カイラだってここを無事に出られるかはわからない。
だがカイラには変に安心感があった。
-あの時に比べればこんなもの些細な事だわ-
「いつまでその安心感が続くのか見ものだなぁ!」
衛兵は下卑た笑みを浮かべて言った。
そしてその直後上の方から爆音が聞こえたのだった。
アウトバーナーの街は大混乱に陥っていた。
急に光る尾を引いたなにかが上空を超高速で通過しその後火の玉を吐いたのである。
その直後に爆音が鳴り響き、その後に衝撃波を含んだ爆風が吹き荒れる。
街はその一瞬で大混乱に陥る。
人々は家を飛び出し衛兵は武器を取りなにかが飛び去った方向へ走ってゆく。
そして飛び去った方向からまた光る尾を引いたなにかが飛来して爆音と爆風を残し飛び去ってゆく。
街の人々は世界の破滅を嘆き、衛兵は人生の最後に花を咲かそうと覚悟を決める。
しかしそんな衛兵はごく一部で残りの衛兵は多勢に無勢でなにかをタコ殴りにするつもりであった。頭の中にあるのは自分が手柄を上げ報奨金をもらう自分の姿だけである。負けることなど考えてすらいなかった。
ただでさえガジス・アルトパキア戦争で衛兵の数が減っており人員不足であったアウトバーナーの衛兵はその一瞬で指揮系統は崩れた。
衛兵全員がなにかが飛び去った方向へと走ってゆく。
結果街から衛兵は姿を消したのである。
デウグルーブとイコルセンテは笑顔で談笑していた。
ドゴォォォォォという音が聞こえたかと思うとガシャーンと部屋の窓ガラスが一斉に割れた。
「何事だ!」
デウグルーブは叫ぶ。
「ただいま確認中です!」
部屋の外に控えていた執事が答えた。
とはいえ執事も何の情報もわからない。
執事は衛兵から何らかの報告が上がってくるだろうと考えての発言だったがその報告は永遠に来なかった。




