73.騒がしい夜
夜の空にC-2とF-22が消えてゆく。
飛行機は国際独立軍の本拠地からアウトバーナーへ向けて飛び立った。
「C-2上空にて旋回待機中。F-22は今から低空飛行を行います」
レーダー画面上ではF-22がアウトバーナーの街から一度遠ざかると高度を下げ加速しながら街の方へ向かっていく。
速度の上がり方が尋常ではないのでアフターバーナーを使用しているようだ。
「MQ-1Cからの映像です」
作戦情報室の使い魔がそう言うとモニターに映像が映し出された。
街は相当の混乱に陥っているようで住人や衛兵が外に出て慌ただしく動いてるのが確認できた。
「カイラがとらわれている屋敷の方はどうなってる?」
俺は使い魔に問いかける。
「そちらの映像も映します」
使い魔がそう答えるとその横のモニターに屋敷の映像が映し出された。
中から衛兵がぞろぞろと出てくるのが見て取れる。
「頃合いか。特殊部隊を降下させて作戦を開始させろ。イージス護衛艦に駐機中のヘリもアウトバーナーへ向かわせろ。到着したら上空で待機。特殊部隊の作戦が終わるのを待て」
俺は指示を出すと深呼吸をして呼吸を整えた。あとは作戦の結果を待つばかりである。
アウトバーナーは作戦開始前。静かないつも通りの夜を迎えていた。
「いやー今日は最高な夜だ」
デウグルーブはイコルセンテと二人、自室で飲んでいた。
気分は二人とも前祝であった。
「ついにここまでこれた」
「あぁ長かったな」
「「フフフ。フハハハ!!」」
二人は笑う。
自分たちが国際独立軍に追い詰められていることも知らずに。
二人は勝利を信じて疑わない。
明日にはリーウェン子爵軍が攻めてくることなど考えもせずに。
二人の宴会はあと少しで終わることになる。
「おい!これはどういうことだ?国王陛下は了承しているのか?貴様ら舐めてると痛い目見るぞ!!」
シルの父ガルは扉の外にいる衛兵に向かって声を荒げる。
ガルとシンステリアは世界中が知る超一級の鍛冶屋である。
そこら辺の底辺貴族より金も名声もある。
そんな二人をぞんざいに扱ったとなれば新国家が出来た時に周りの国家が協力してくれなくなると考えたデウグルーブは二人を牢ではなく客室に軟禁していた。
もちろんデウグルーブはこの国を乗っ取った後、世界を手中に収める気ではあるが、世界征服は一気には出来ないことも理解していた。なので数年間だけ他の国に侵攻しない計画であった。その数年間に他国といざこたがあると国力を育成しにくい。そうなれば計画に乱れが生じると考えたデウグルーブは二人を丁寧に扱ったのである。




