72.作戦開始
リーウェン子爵は衛兵を招集していた。
「本日朝方にアウトバーナーの衛兵が我がリーウェン子爵領内に無断で侵入し領民を捕らえるという事件が発生した!これは断じて容認できない不法行為である。翌朝にアウトバーナーへ向け出兵する。それまでに出撃準備を整えておけ」
リーウェン子爵の言葉を聞き慌てたのはリーウェン子爵領の衛兵隊長である。
「子爵!正気ですか?我が衛兵団は他の貴族領より兵士の数は多いとはいえガジス・アルトパキア戦争で衛兵を少なからず失っております。そんな時に、、、」
リーウェンは港町で交易が盛んである。
交易が盛んということは交通の便が良いわけで他国からも攻められやすい。
とくに相手が船を使って攻めてくればリーウェン子爵が真っ先に戦わなければならない。
王立騎士団が到着するまで本土を防衛するという任務を受けているリーウェン子爵領は他の貴族領よりも衛兵が多かった。
「だが、このままではリーウェンが軽くみられるぞ。貴様はその責任が取れるのか?」
「、、、」
リーウェン子爵の呼びかけに衛兵隊長は沈黙する。
「別に派手に戦争したいわけではない。あくまでも牽制を目的とした戦争だ。リーウェン子爵家が男爵家風情に下に見られては先祖代々に顔向けできん」
こうしてリーウェン子爵は翌朝の出兵に向けて動き出した。
陽が沈み辺りは闇に包まれる。
今日の天気は快晴だが月は出ておらず星明りのみ。
しかし電気がないこの世界では星明りだけでも明るく感じた。
俺は外から作戦情報室に戻る。
作戦の開始前に外の空気が吸いたいといって部屋を後にしていた。
「作戦を開始しますか?」
作戦情報室に入るとスヴェートが問いかけてくる。
「今のアウトバーナーの状況は?」
俺は聞いた。
「ただいまのアウトバーナーの状況を報告します。天候は晴れ。現在の国際独立軍本拠地と似たような気象条件です。そして衛兵の配置はそこまで多くないといった印象です。町は静かな様子で特に混乱が起きているような状況は認められません。現在領主のアウトバーナー男爵、並びにギルド幹部のアウトバーナー卿は男爵家の館にいる模様です。作戦には差し支えない状況と思われます」
作戦情報室使い魔が返答してくれた。
「軍隊の配備状況は?」
「すべてご命令通りに配置完了しています。イージス護衛艦はリーウェン近海で待機。特殊部隊とF-22。C-2は即座に出撃可能。MQ-1C2機はアウトバーナー上空で監視任務にあたっています。」
「よし。じゃあやりますか。カイラ、ムル、シルの三名を救出しその後即座に撤収。目標1時間で終わらせるぞ。総員作戦開始!」
俺は命令を下した。
基地内が慌ただしくなる。
こうしてカイラ救出作戦が始まったのだった。




