64.準備開始
「思いついた作戦とは?」
スヴェートは俺に聞いてくる。
「F-22をアウトバーナーで低空飛行させてフレアを撒けばいい」
「フレアとは?」
「フレアっていうのは囮の一種で本当はミサイルから守るためにあるんだが、これは燃えながら落下していくんだよ。夜に急に爆音がした後に火の玉が落下してくる。そうなったら衛兵は屋敷の守護どころじゃなくなって守りは手薄になるだろう。そこに特殊部隊を降下させてカイラ達がとらわれている屋敷を強襲する」
「なるほど。外におびき寄せるわけですね」
「あぁ。F-22は無灯火かつ音速を超える速度で低空飛行させれば発見はされないと思う」
「そのためにもまずはカイラ達がいる屋敷を特定しないといけませんね」
「アウトバーナーの衛兵の馬車を発見しました!」
俺とスヴェートが話していると情報作戦室の使い魔から報告があった。
馬車はアウトバーナーの街に到着前だったようで、まだリーウェンとアウトバーナーを結ぶ道上を走行中だそうだ。
「MQ-1Cをアウトバーナーへもう二機飛ばせ。その二機がアウトバーナーに到着しだい現在任務に就いているMQ-1Cを帰投させろ」
これは夜の救出作戦中にMQ-1Cの赤外線カメラを使用して衛兵の人数などを調べる予定なのだが、一機では数が足りない。F-22のフレア放出後の街の動きを見る機体と、カイラ達がとらわれている建物を監視しておく機体である。
それに午前中に飛ばした機体がもし不具合でも起こしていたら作戦は完全に失敗してしまう。
そうならないために念のため機体を交換させる命令を下した。
国際独立軍の準備は整った。あとは状況を見極めて作戦の実行を判断するだけである。
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話は少し遡る
「くそ!手加減してたらこっちがやられちまうぞ!」
「殺すな!殺しちまったら極刑は免れんぞ!」
「じゃあどうしろていうんだ!」
リーウェンのギルドでアウトバーナーの衛兵とギルドメンバーが斬りあっていた。
大勢は衛兵側が圧倒的に有利だった。
なにしろ人をとらえるための訓練を普段からしているのである。
対するギルドメンバー側は対人戦闘は山賊などの犯罪者のみ。つまり相手を捕らえる立ち回りはしたことがない人がほとんどだった。
「みんなもうやめて!」
混沌とした時を止めたのはカイラだった。
「私たちアウトバーナーに行くから!」
「なっ!カイラ達は全く悪くないじゃないか!」
「濡れ衣を着せられるぞ!」
カイラが再び発した言葉によってふたたび場はざわめく。
「わかってるわよ。でも私はみんなを絞首台に上らせたくない」
「「「「、、、」」」」
再び場が静まり返った。
「では、アウトバーナーまで同行願おう」
アウトバーナーの衛兵隊長がカイラ達を馬車に乗せる。
そして馬車はアウトバーナーに向けて進みだしたのだった。




