62.情報収集
「で、何があったの?」
セルアータはベンチに座りスイレーナが落ち着くまで待ってから話を切り出した。
「はい。実はカイラさんたちがダンケと名乗る男から国際独立軍の情報を渡せと脅されたらしいんです」
「国際独立軍の?」
「そうなんです。最初カイラさんたちは断ったようで、男がシルの両親を人質に脅したとのことでした。それでリーウェンのギルドは本部から幹部を招きダンケという男をギルドの独自制裁にかけようとしたんです。でも幹部の方はダンケを擁護したばかりかその場にいてカイラの方についたギルドメンバーをクビにすると言い出したんです。しかもカイラさんたちをアウトバーナーの衛兵に突き出すと言って通報までしていました」
「それで暴動が起きたの?」
「はい。ギルドメンバーがカイラさんたちを守りながら戦っていたんですが、こちらは対人の訓練などほとんどしませんし経験もあまりありません。経験したとしても盗賊相手なので手加減はしないんですが今回は衛兵が相手だったのでさすがに殺すのはまずいとみんな手加減しながらの戦いでした。しかし相手は対人戦闘のプロ。結局ジリ貧になって負けてしまい。カイラさんたちは捕まってアウトバーナーへ連れていかれてしまったんです」
「そんなことが、、、」
「実はカイラさんたちに助けてもらったことがあって。私がギルドメンバーになったばかりの頃の話なんですけど、私が依頼の帰り道オークに襲われているときに助けて頂いたんです。なので今回カイラさんたちの身を守るためにギルドに居たんですが、、、役に立てませんでした、、、」
スイレーナはその時の光景を思い出したのか目を再び濡らした。
「幹部の名前はわかる?」
「え?えぇ。アウトバーナーと言っていました」
「その人はアウトバーナーの領主とつながりがあるの?名前が一緒だけど」
「そこらへんはわからないですね。一般のギルドメンバーにギルドの幹部の名前なんて情報は入ってこないですし、出自なんかはまったく知りません。でも貴族の名前は一般庶民は使わないので多分関係があると思います」
「わかった。ありがとう」
セルアータが席を立とうとしたその時スイレーナがセルアータを呼び止める。
「待ってください。あなたは一体どこの人なんですか?」
スイレーナにしては当然の疑問であった。見ず知らずの女エルフがギルドの事件を根掘り葉掘り聞いてきたのである。気にするなという方が無理な話であった。
「私はただの噂話が好きな人」
「噂話が?」
セルアータとしては身分がばれるわけにはいかなかった。
国連職員がリーウェンの街にいるのは不自然ではないがギルドの問題に首を突っ込むのは不自然極まりないからである。ここでいらぬ疑いをかけられ調査できなくなる可能性もあった。
「そう。別に他の街では言いふらしたりしないから大丈夫」
「そう言う問題ではないんですが。まぁ問い詰めても意味はありませんしね」
スイレーナはどこかあきらめた様子でつぶやいた。
「じゃあ、ありがとう」
セルアータはスイレーナに御礼を言うと港に泊めてあるミサイル艇まで戻ってきた。




