60.ガル工房五人衆
「ちょっと出てくる」
ガルは店から工房の方へ顔を出すと鉄に向かっている弟子たちに言った。
「店はもう閉めとけ」
工房から直結している店内にいる店番の弟子に向かってそう言うとガルは短剣を腰につけて店を後にした。
ガルが店を出たのを弟子たちが確認すると工房の方からにぎやかな声が聞こえた。
「親方は娘の事となると顔つきが変わるよな」
「ちげぇねぇ」
「一人娘だからな。すべての愛情がそこに向けられてんだろうさ」
「少しでもこっちに回してくれれば楽なんだがな!」
「ブワハッハッハ。デレる親方なんぞ見た日には気持ち悪くて寝れねぇわい!」
「「「「「ちげぇねぇ!!ハッハッハ!!」」」」」
「皆さん鍛冶の途中に話してたら雑念が入ってるって親方に言われますよ!」
店の閉店作業を終えた一番若い弟子が工房の方へやってきた。
「そんなヤワな鍛え方はされとらんわい!なんせここはガジス王国で一番腕のいい鍛冶屋のガル工房だぜ?」
「そんな腕だったら鍛冶の道具にすら触れさせてもらえんな」
「だがまぁ坊主の言ってることも一理ある」
「真面目に打つかぁ」
「ガル工房五人衆の腕の見せ所だな!」
弟子たちはそう言うと皆真面目な顔をして鉄に向き合った。
ガル工房の作品と名乗ることを許されるのはガルとこの五人衆の作品だけである。
ガルは他にも弟子がたくさんいるがそれは練習用の工房で作業させていた。
そして一定以上の力が付いたら元ガルの弟子がやっている工房に修行に出される。
「弟子の面倒も見れないで一人前の鍛冶屋を名乗る資格はねぇ。技術を継承してさらに昇華して、そしてその技術を次の世代に継げてこそ一人前なんだ」
ガルの言葉である。
そしてそこの親方に認められたらガルの工房の店番をして、次にガルの工房で鍛冶師の手伝いをすることが出来る。そこからさらにガルに認められて工房で鍛冶師見習いとして働き、さらに自分で打った作品をガルに認められてやっとガルの工房で鍛冶師として鍛冶をすることが出来るのである。
ガルの工房で作られる作品はどれも一級品でガジス王国の近衛騎士の鎧に使われるなど王国内どころか世界で知られている鍛冶屋の一つだった。
五人衆は日が暮れるまで鉄に向かい合ったのだった。
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「この馬車に乗れ」
「そうせかさなくっても乗りまさぁ。よっこいしょ」
ガルが馬車に乗り込むと見慣れた顔がそこにあった。
「あ?なんでお前がここに?」
「あなたと同じですよ「娘の事で話がある」と言われて家からここまで」
それはガルの妻。シルの母親だった。
ついに60話まで来ました!
最初はここまでポイントやPV数が伸びるとは露にも思わず、ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。
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本当にここまで読んでくださりありがとうございました。
そしてまだまだ続くオリミリをどうぞよろしくお願いいたします。
2019/9/22
近衛瑞




