55.ギルド動乱
リルがギルドの奥の方へ姿を消してから30分後。
「お待たせしました」
リルは暗い表情で受付へと戻ってきた。
「ダメでした。ダンケという人物は名前はギルドの本部でも把握していませんでした」
「そう。なの」
カイラは言った。
「でも、ギルドの本部から幹部の方が明日、リーウェンの方へ来てくださるそうなので何かしらの対処は期待できると思いますよ!」
リルは暗い表情から一転明るい表情で言う。
なのも今回がギルドにとって初めての脅迫事案ではない。
軽度の物であればギルドが独自に制裁を科していたし、悪質な場合は衛兵に突き出すなどの対処をしてきた。
今回もギルドの幹部が派遣されることによりそのような対処がなされることが期待できた。
「ただ普通はギルドマスターがどう対処するのか決めるんですけど、本部から幹部の方が来られるなんてよっぽど本部はこの件を重く見たんでしょうね」
リルが続けて言った。
「でも、なんにせよ対処してくれて助かったわ。明日はよろしくね」
カイラが言う。
「はい!」
リルが返事をする。
カイラ達は疲れた顔で家へと戻るのだった。
翌朝
カイラ達三人はギルドに入るとまだダンケは来ていないようだった。
「おはよう。まだダンケは来てないわね」
カイラはリルに声をかける。
「あ、おはようございます。もう幹部の方は来られていますよ。今はギルドマスターとお話しされています。それから相手が危害を加えてこないとも限りませんのでギルドメンバーの方に周りに控えてもらっています」
「わかったわ。ダンケが来たら言うわね」
カイラはそう言った。
リルや他のギルドメンバーはダンケの顔を知らないのでカイラがダンケが来たら知らせる手筈になっている。
「いよいよですね。ギルドを舐めたら痛い目見ることを教えてやりましょう!」
リルは意気込んで言った。
その時、ギルドのドアが開かれ外からフードをかぶった男が入ってくる。
ギルドの中は一瞬にして緊張感に包まれた。
「あの男よ」
カイラはリルに言った。
リルは控えていたギルドメンバーに合図を送った後ギルドマスターの部屋へ駆けて行った。
「やぁ、カイラ。意思は固まったかね」
男は周りのギルドメンバーの目線を気にすることなく言い放った。
「えぇ決まったわ。その依頼は受けない!これが私たちの答えよ!」
カイラは男をまっすぐ前に見据え言った。
「ふっふっふ。ふはははは!そうか受けないと申すか!よろしい!ならば後悔することになるぞ!」
男は大声を上げ笑いだしたかと思うと大声でカイラ達に向かって大声を出した。
周りに控えていたギルドメンバーがダンケを取り囲む。
「お前さんよう。ちょいとギルドを舐めちゃあいないかい。油断は死を招くことになるぞ」
取り囲まれたダンケに声をかけたのはリーウェンのギルドでは一番老練なギルドメンバーだった。
「ふはははは!お前らこそギルドを買い被りすぎなんじゃないか」
そこにリルが呼んできたギルドの幹部がダンケに声をかけた。
「ギルドメンバーは武器を下ろせ!俺が話をする。周りを空けろ」
一部のギルドメンバーは一触即発の雰囲気に武器を抜いていたがこの言葉で武器を収める。
「ダンケさんはたしかギルドメンバーでしたな。ではギルドカードの提示をお願いできますかな」
幹部は一転物腰柔らかな表情でダンケに言った。
ダンケはギルドカードを幹部に渡す。
幹部は確認が終わったのかダンケにカードを返す。
「この人はまだ何もしていないのだろう?それならば何も問うことはない!逆に何もしていないギルドメンバーに対し武器を抜くなど言語道断の行為である!よってこの場に居るギルドメンバーはギルドに対する敵対行為で全員ギルドメンバーを辞めてもらう。カイラ達三人はこの騒動の主犯格としてダンケさんの出身ギルドを管轄する衛兵に突き出す!以上!!」
ギルドの幹部はギルドカードを返し終わると言い放った。
この宣言でギルドの歯車は大きく狂い始めたのだった。




