53.脅し
カランコロン
喫茶店のドアのベルが鳴る。
喫茶店に入店したのはフードをかぶった男一人と女三人だった。
「いらっしゃいませ!何名様でしょうか?」
入店した四人を明るい雰囲気の女性店員が出迎えた。
「四人だ」
男が言う。
「四名様ですね!お席は空いている席をご自由にどうぞ!」
男は空いていた店の角の席に座る。
それを見て女三人も同じ席に着席した。
「ご注文はお決まりですか?」
女性店員は水をテーブルの上に置くとメモを取り出し四人組に聞いた。
「私はコーヒーを」
男はそれだけ言うと女三人の方に目をやる。
「私たちは水でいいわ。お腹もすいてないしコーヒーは口に会わないの」
女の一人が言った。
店員は一瞬顔を曇らせたがすぐに笑顔に戻り「かしこまりました」というと店の奥に入っていった。
「何も頼まないのかい?」
フードをかぶった男が女に聞く。
「えぇ。あなた方がもしグルで何かされたら嫌だもの」
女改めカイラが言った。
「それで?どんな依頼なわけ?」
カイラは男に聞く。
「そんなに警戒しなくていい。簡単なことさ。サトウと国際独立軍の情報を私に流すだけでいい、もちろん対価は支払わせてもらう」
「何が目的なの?」
カイラは男をまっすぐ見ながら言った。
「それは言えない。手にした情報をどうしようがこちらの勝手だ。君らは情報をこちらに渡すだけで金が手に入るんだ。悪い条件ではないだろう?」
「悪いけど出来ないわ」
カイラはきっぱりと言った。
「なぜだ!?そちらにとっても悪い条件じゃないはずだ」
男は語気を強めた。
「サトウはこの世界では完全に抜きんでた軍事力を保持しているわ。そんな圧倒的武力を誇る兵器が悪意ある人間に渡ったらどうなるかしら。それをわからない私じゃないわ。それにあなたたちがどこまで知っているのか知らないけれど私たちにもあの兵器の理屈や仕組みは全くと言っていいほど知らないわよ」
カイラ達はそう言って席を立った。
「待て。まだ話は終わってはいない」
男は余裕のある声でカイラ達を引き留めた。
「私たちは終わったのだけれど」
カイラが言う。
「落ち着いて話を聞け。そこの一番背の小さい子の名前はシルといったかな」
男はシルの方を見て問いかける。
カイラ達は否定も肯定もしなかった。
「まぁ警戒心があるのはいいことだ。それが長生きの秘訣だからな。だがそれが通用しないときもある」
男は余裕のある顔で言って言葉をつづける。
「シルよ。デリュート村という村に心当たりはないかね」
男は笑顔で言った。
シルの顔が一瞬にして強張る。
「ど、どうしてその名を、、、」
シルの口から言葉がこぼれた。
「その村の鍛冶屋さんの話なんだが、この依頼の返答次第では私の知り合いがちょっとお話に行くかもしれない。なぁーに、リーウェンの街やあなた方には何も関係のない話なのだがね」
男はドス黒い笑顔を浮かべて言った。
その話を聞いてカイラ達は再び席に着席したのだった。




