44.奴隷商館5
ジュギャイアからの説明を聞いた後、俺は購入する奴隷についての話を切り出した。
「法に触れないのなら今おすすめもらった奴隷全員を購入したいと考えています」
俺はジュギャイアを見てそう言った。
「そうですか。ありがとうございます。では準備させていただきますね」
ジュギャイアはそういうと部屋から退出していった。
ジュギャイアが退出すると同時に屈強な男たちが再び登場して奴隷の情報が書いてあった紙を片付けていった。
もちろん俺が購入する予定の10枚を除いて。
20分ほどするとジュギャイアが戻ってきた。
ジュギャイアの後ろにはぞろぞろと鎖でつながれた人々が連なっている。
「おまたせしました。こちらがサトウ殿が希望された奴隷です。今が奴隷をお決めになる最後の確認ですがこれでよろしいですかな?」
カイラによるとこの段階で人相や背格好を見て最終決定らしい。
でも俺は人相で選んだわけではないので不満はなかった。
「はい。全員もらいます」
「そうですか。ありがとうございます。では手続きに入らせていただきます」
ジュギャイアはそういうと奴隷たちを部屋から出してソファに座った。
「まずお値段の方ですが、総額6億7000万ルシエになります」
ジュギャイアは言う。
この世界では一般的な一家が一年間暮らすのに必要な額は250万ルシエあればなんとか暮らしていけて、350万ルシエあると普通に暮らして行ける。
そう考えれば6億7000万ルシエは超がつく大金である。
ジュギャイア曰く今回俺が購入した10人のうち1人がドワーフで2人エルフがいたためこんな金額になったとか。エルフやドワーフは寿命が長いため人間と比べると値が張るとのことで、尚且つエルフの女性は美形が多く見た目年齢が変わりにくいためさらに値が張るということだった。
「こんな金額持ってるの?」
カイラが小声で聞いてくる。
「大丈夫。国連加盟の際に加盟希望国から保証金もらってるからそこから払うよ」
この加入保証金はその国の国家予算をみて個別に額を決めるので細かい金額は国によって異なるが、大体一国加入するのに10億ルシエからアルトパキア帝国のような大国になってくると100億ルシエが国際独立軍に入る。
今のところ加入保証金を支払っている国は3か国で総額180億ルシエある。
そこから6億7000万ルシエ支払うので微々たる出費である。
「一括現金払いで」
俺はジュギャイアにそう言うと目の前の机に1億ルシエ金貨を取り出して行く。
この世界のお金に紙幣はなくすべて硬貨である。
1ルシエ硬貨、10ルシエ硬貨、100ルシエ硬貨、1000ルシエ硬貨、1万ルシエ硬貨が一般的に流通している硬貨となり、その先には1000万ルシエ銀貨、1億ルシエ金貨、10億ルシエ大金貨が商業や国家予算用にある。
一番大きな10億ルシエ大金貨では日本の500円玉の5倍くらいの大きさがある。
「では確認いたしますので少々お待ちを」
ジュギャイアは机の上に置かれた7枚の1億ルシエ金貨を見ると枚数に間違いがないかなどを確認していく。
「はい。間違いなく7億ルシエ頂戴いたしました。ではお釣りの3000万ルシエです」
ジュギャイアは金庫に7億ルシエを入れるとその金庫の中から1000万ルシエ銀貨を3枚取り出した。
「これで取引は成立しました」
ジュギャイアは俺を見てそう言った。