39.国連始動2
国際連合にアルディアータ共和国が加盟して1日俺は大量の加盟希望の申請書を前に事務作業に追われていた。
国が国際連合に参加する以上相手方の国にも守ってもらうルールがあるわけでそれが出来なそうな国は弾いて詳細な申請書を出すように書類を送り返すなどやることは山積みである。
スヴェートが手伝ってくれるとはいえ完全な人手不足に他ならなかった。
かといって使い魔は武器や伝令役などはできてもこういう書類仕事はできなかった。
俺と対話するときカンペなどを駆使して対話していたので一回やらせてみたら何事も俺に聞いてくる。
「これは許可するのか?」とか「この書類は不備がありますがどうしますか?」などなど。
軍隊の指揮系統としては自己判断せず上官に従えなので問題ないのだが事務作業的には問題であった。なんせはかどらないのである。
この先国際連合が本格始動したらもっと事務作業が増えるのは必至でどうしたものかと悩んでいた。
加盟各国から文官を派遣してもらうことも考えたのだが、そうなれば文官どもが自国の利益に動くのは目に見えていて公平な組織になるのか微妙な気がした。
しかし文書とにらめっこでいい案が思いつくはずもなく、そこでスヴェートとリーウェンの街に買い物に行くことにしたのである。
「久しぶりに一緒に買い物しますね!今日の夕食は何にしますか?」
スヴェートはこんな感じでハイテンションであった。最近は講和会議や国際連合の創設などで忙しすぎてまともに休暇を取っていなかった。
リーウェンの市場を買い物しながら歩いていると後ろから声がかけられた。
「あれ?サトウとスヴェート?」
振り向くとそこには懐かしの(と言っても一か月ぶりぐらいだが)三人組がいた。
「カイラにシル!それにムルさんじゃないか!一体どうしたんだ?」
「私たちだって買い物くらいするわよ」
カイラが答える。
「それもそうだな。元気そうで何よりだよ」
「そういうサトウは疲れ気味ね。目の下が黒くなってるわよ」
「やっぱり疲れ気味に見える?」
「えぇ。大分ね」
カイラにそう指摘され俺は近況でも話さないかと近くの喫茶店までやってきた。
「実は・・・」
俺は最近のガジス・アルトパキア戦争の事から国連の設立まで話をした。
「国家間ではそんなことになってのね。国連の文官の話だけど奴隷でも買ってみたら?」
俺はその提案に目を丸くした。
「ど、奴隷?」
「そ。奴隷。奴隷と言ってもピンからキリまでいるからそこらへんは見分けないといけないけど奴隷とは契約で結ばれるから情報漏洩が起こることはないし、特定の国家にも属さないから不公平になることはないんじゃない?ただ難点としては結構お金を持ってないと購入できないことね」
奴隷。元日本人の俺からするとあまりいい響きではないが誰かの手がないと国連が出来ないのも事実である。
ちなみにお金の事は大して問題ではなかった。
国連の分担金である。
一応基本は加盟国の災害積立金とするが国際連合の事務手数料として分担金の数パーセントが国際独立軍に入る。そして加入するときにいくらかの加入保証金を支払ってもらっていた。これは今後分担金を支払うことが出来ますよという保証用のお金である。これは全額国際独立軍の方に入るようにしていた。
これだけを聞けば国際独立軍が金ばっかもらってズルいという意見が出るのかもしれないが、それと引き換えに国際独立軍は武力を提供するのである。加入各国からすれば兵士を雇い訓練し防具を買いそろえ賃金を支払い続けるよりも安くつくのである。そのためこのお金で文句を言う国はなかった。
そのお金が国家予算からすればいくらかなお金なので世間の金銭感覚からすれば超が付くほど大金であった。
スヴェートと俺の食費はギルドメンバー時代の討伐報酬金を使っているのでそこはしっかり区別していくつもりである。
「まあ。あんたあんまり奴隷に関して知識なさそうだし今回はあたしがついてってあげるわ。明日は都合つく?」
カイラが言う。
「あぁ。あしたリーウェンの港で待ってるよ」
「わかったわ」
こうしてカイラ達と別れ俺らは基地へと戻っていった。




