38.国連始動1
俺はさまざまな国の使節との面会に追われていた。
ガジス・アルトパキア戦争の終結と国連が設置されるという情報が世界中に駆け巡り、中小国家から国連についての問い合わせが殺到したのである。
もちろん国連の趣旨や公平性は国連設立と合わせて情報で流した。
中小国家からすればこれに加入するだけで侵略の危険性が格段に下がるので詳しい話を聞きあわよくば加入したいという魂胆である。
それに当然だが戦争が起きたら他の国は戦争の情報収集を行う。
これにより大半の国が鉄砲の有用性をこの戦いで理解した。
しかしそんなことよりも多くの国々を驚かせたのは国際独立軍の圧倒的軍事力である。
「帝国海軍の艦艇が港から出港して一隻も帰ってこなかった」
こんな話が多くの国の首脳陣にもたらされ、調査をすると国際独立軍が関わっているらしいとのことである。
この世界では軍事強国だったガジス王国が歯が立たぬ相手の海軍を新興の軍事勢力が完膚なきまでに叩き潰したのである。
中小国家からすれば恐怖の対象でしかなかった。
だがそんな国際独立軍が金を払えば庇護下に入れるという国際連合を設立したとのことである。
もし本当に守ってもらえるならば加入する価値は大いにあった。
それを見極めるために多くの国が俺のところに使節を派遣し今に至る。
使節にもいろいろなタイプの使節がある。
完全に下手にでてこちらの顔色をうかがう使節や逆に完全に見下してきて「そちらが頼んでくるのであれば入ってあげてもいいよ」といった言葉を残していく使節などさまざまである。
国際連合についてはおおむね好評なようで組織自体の反対意見などはそこまで聞かれなかった。
そしてエルフの国「アルディアータ共和国」の使節と会談した時にある質問をされた。
「サトウ殿は何を目的にこの団体を設立されたのか」という質問である。
他の国の使節は自国の安全は守られるのかとか国際独立軍が裏切ることはないのかといった質問が多かったがエルフの使節団長は単刀直入に聞いてきた。
外交の世界で単刀直入に聞くのはまずいのかもしれないが、別に俺は外交に詳しいわけではなのでそこは気にならなかった。
「目的ですか。そうですね世界平和ですかね」
俺は答える。本音を言えば目的など考えていたようで考えていなかったのだと思った。
最初俺が目指していたのは俺がこの世界で生き延びることである。
それが国が絡むようになり気づけばこの世界初の国家的枠組みを作ろうとしている。
人生はわからないものである。
「世界平和ですか。サトウ殿はその目的が達成できると御思いですか?」
エルフの使節団長が問いかけてくる。
「まずは思わないことには何もできないでしょう」
俺が答えた。
「そうですな」
エルフの使節団長はそう答えると目を瞑り深呼吸をした。
「アルディアータ共和国は国際連合に加入しようと思います」
「ここで決めていいんですか?」
俺は驚きつつ聞いた。
俺に会った他の国の使節は一度国に帰って決めると言って帰っていったからである。
「ええ。私はこの交渉に関して全権を任されていますので」
エルフの使節団長はそういうと口角を上げた。
こうして国連は加盟国数が国際独立軍含めて4ヶ国になった。




