29.ガジス・アルトパキア戦争2
「報告します!王立第一騎士団と連絡とれません!壊滅的状況と思われます!」
「なぜこうなった!」
帝国とガジス王国の国境線を帝国陸軍が侵犯して戦争が始まったその三時間後。
ガジス王は配下からの報告に吠えていた。
貴族の私兵はすでに全滅しており後方に控えていた王立騎士団までもが全滅手前という程に戦況は悪化の一途を辿っていた。
「相手の被害はどのくらいか!」
「相手はほとんど無傷と思われます!」
「こうなれば近衛も危ないか。転進!転進せよ!一度王都に引き返すのだ!」
ガジス王はこのように叫ぶと急いで陣を片付けさせる。
自分で騎士団を指揮しようと前線まで近衛騎士を引き連れやってきたガジス王はやってきてたった一日で敗走という結果になったのである。
「陛下!国際独立軍から援軍要請を受諾したとの連絡です!」
「今さら遅いわ!しかし敵をおびき寄せる囮にはなってくれようぞ!今のうちに王都へ転進進め!」
ガジス王は敗走しながらその報告を聞き若干口角を上げた。
王都まで引き返しても残存兵力があるわけでもなく秘密兵器があるわけでもないので不利な状況はなんら変わらないのだがガジス王は王都を目指し進んでいた。しかしその進軍は30分後に止まることになる。
~国際独立軍指令基地~
「帝国海軍領海侵犯までおよそ30秒!」
指令基地の使い魔から報告が入ってくる。
なぜこのような詳細な時刻までわかるのかというと海域上空にF-35B6機が待機して監視していたためである。
俺の下した命令は領海を侵犯した瞬間に叩き潰せというもの。
その命令を遂行するために対艦ミサイルを搭載したF-35Bが2時間程前に離陸したのであった。
「先頭の一隻。侵犯しました。沈めますか?」
「作戦開始!帝国海軍を叩き潰せ!」
俺は開戦を指示した。
それからの海上戦はもはや蹂躙劇であった。
F-35Bのミサイル搭載能力は4発しかない。つまり6機合計24発のミサイルでどのように100隻ものガレオン船を沈めたのかというとイージス護衛艦である。
ガレオン船の座標をイージス護衛艦に送信することによりイージス護衛艦から90式艦対艦誘導弾(艦対艦ミサイル)を発射。ガレオン船を沈没させた。
この海上戦があっけなく終わったことにより俺はガジス王国の方の援軍を増派させイージス護衛艦も向かわせたのである。
時は少し遡る。
~帝国海軍ガレオン船隊旗艦~
「司令官。まもなく国際独立軍の領海です」
「そうか。敵影は?」
「確認できません。相手はこちらに気づいてないでしょう」
「それもそうか。こんなに早く来るとは思わないか」
ガレオン船隊司令官は報告を受け笑う。
「この戦争は我らにとって前哨戦に過ぎん。本当の戦いはガジス王国との戦である。国際独立軍をあしらったら即座にガジス王国に向けて船を進めろ!」
「はっ!」
将校が司令官室から出てゆこうとすると「ドーン」という爆発音が鳴り響いた。
「ほ、報告します!」
見張り兵が司令官室に飛び込んできた。
「先頭のガレオン船が爆発沈没しましたぁ!」
司令官は冷静に見張り兵を見ると口を開いた。
「大砲の火薬に引火したのか?」
「いえ、まだ敵影が見えないことから大砲を扱ってませんのでその可能性は低いと思われます!」
「じゃあなぜ爆発するんだ!」
司令官が口調を荒げると「ドーン」とまた音が聞こえてくる。
またも見張り兵が司令官室に飛び込んできて「前から二つ目のガレオン船も爆発沈没しました!」と報告をする。
その報告を聞くや否や司令官は甲板へ飛び出した。
「敵襲だ!総員、戦闘体制に移行せよ!」
司令官はメガホンを取ると叫んだ。
この命令が他のガレオン船にも伝わっていく。
しかし敵影が見えず白い線を引いた何かが近づいてきて爆発。
味方の船がどんどん沈没していく中でできることはなかったのである。
「あの飛んでくる物体に大砲は当てられんのか!」
司令官は叫ぶが将校が即座に不可能を伝えた。
「あの速度で飛ぶ物体に大砲を当てるなど不可能です」
「しかしそうしないとこのままでは全滅だぞ!」
司令官が言うとその直後。対艦ミサイルが旗艦を直撃し爆発沈没した。
司令官を失った他の船は転回したりと行動が乱れる。
しかしそんなことを気にも留めずミサイルは船を一隻。また一隻と沈めてゆく。
こうして帝国に気づかれることもなくガレオン船100隻の巨大船団は姿を消したのである。




