18.救出作戦
「映像、入りました。モニターに投影します」
指令基地の使い魔が言う。
F-35Bは機体下部にカメラがついており、そのカメラでパイロットは360度視界が確保される仕組みになっている。
そのカメラの映像を指令基地に送信することによって偵察任務も可能になっていた。
エルフの村はオーガに囲まれており、まだ被害は出ていないように見えた。
「オーガは比較的頭がいいモンスターです。予測ですが村を襲うより籠城させて餓死するのを待っているんでしょう。救出作戦は今夜決行しましょう。特殊部隊に準備させます」
スヴェートが画面を見ながら言った。
「みんな、あとちょっとだから頑張って…」
ソフィが呟いた。
作戦の詳細が決まった。
特殊部隊はC-2でエルフの村上空につくと落下傘を使い降下。村に降り立つとオーガを順次撃破し村を救出。その後CH-47で救援物資の食糧などを輸送後からになったCH-47で隊員が帰還。
スヴェートはC-2がつく前に村に行き作戦を伝達。しかし昼間に行くとオーガに気づかれるため作戦開始時刻は午前二時に決まった。
特殊部隊は銃にサプレッサー(発砲音がほとんどしなくなる消音器)をつけ準備を行っていた。
俺とソフィは指令基地にて作戦の指揮を行うことになった。
陽が沈み月が高く上ったころ先遣隊としてスヴェートが飛び立った。
指令基地に連絡が入る。
「こちらスヴェート。村に到着。村長との接触に成功。作戦は伝えました」
その無線を合図にC-2が飛び立った。スピードに差があるのでCH-47も飛び立つ。
「C-2現場上空到着。ただいまより降下開始します」
指令基地の使い魔が報告してくれた。
「よし。作戦開始」
俺は宣言した。
C-2から降下した隊員は落下傘を使い地面に降り立つ。落下傘や戦闘服は黒い布でできていて地上からは、ほとんど視認できなかったはずだ。C-2も航空灯火を消して飛行していたので気づかれていないだろう。
特殊部隊はサプレッサー付きのM4カービンを装備し3人1組でオーガに向かっていく。
オーガは森に10m間隔で並んでいた。特殊部隊の使い魔はカシュッとM4カービンをオーガに向けて発砲する。銃弾はオーガの心臓に命中しズゥンと音を立てて膝から崩れる。オーガがいくら強いといっても心臓に穴が開いては生きていられない。
隣にいたオーガが倒れたことによって、横に並んでいたオーガが振り向くが倒れたオーガを視認した時には、自身の胸にも風穴があいていた。
16個の3人組は次々とオーガを撃破していく。
残りの使い魔2匹は村に残り警戒していた。
森にオーガが倒れていく音だけが広がってゆく。
発砲音はサプレッサーによって聞こえず使い魔のぽよぽよとした足では足音すらならなかった。
オーガからすれば恐怖以外の何物でもなかった。
音もなく胸に穴をあけて倒れてゆく仲間たち。弓のような風切り音も聞こえずどうやって仲間がやらているのかさえ理解できない。
相手は弓や魔法を使うエルフではないのか。そう疑問を抱いたときには胸に風穴があいていた。
オーガのリーダーは焦る。音もなく仲間が減ってゆく。弓で狙撃されても遠距離狙撃の弓は武器ではじけるし、魔法で攻撃されようと10m間隔で並んでいる仲間が魔術師を取り囲めば勝てる。そう考え村を囲いエルフが衰弱するのを待っていた。
どこでその作戦に綻びが生じたのだろうか。魔法を使っている気配はない。しかし弓なども使っていない。ただ遠距離攻撃されていることはわかる。鉄砲のような発砲音も聞こえていない。
なぜこんなに一方的に痛めつけられているのかオーガのリーダーには理解できなかった。
ゾワリ。背中に悪寒が走る。
ゆっくり振り向くとそこには執事の服を着た青年が立っていた。
「あなたがリーダーですか・・・」
執事の青年はオーガに問いかける。
オーガは青年を殺そうと武器を振りかぶる。
武器を振り下ろそうと腕に力を込めた時。すでにオーガの体は魔法によって吹き飛ばされていた。
「雑魚が何匹集まろうが龍種に勝てると思うなよ」
執事服の青年は呟いた。
「オーガ全滅させました」
スヴェートから無線が入る。
「終わりましたよ」
俺はソフィに言う。
「ありがとうございます・・・ありがとうございます」
ソフィは涙声で言っていた。
「CH-47村に到着。支援物資を搬入します」
報告が入る。
こうしてエルフの村の救出作戦は我々の大勝利で幕を閉じたのだった。
更新遅れてすみません。
来週いっぱいまで忙しい日が続くので更新回数が減りますがご了承ください。
これからもよろしくお願いいたします。
近衛瑞




