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新生デオンの暇仕事  作者: kazfel
ハプスブルクの黄昏
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第一次世界大戦・開戦

 フェルディナント大公夫妻の遺体がウィーンに運ばれた。宮内大臣モンテヌオーヴォ候は各国の外交官や外国人の弔問を断り、ウィーンの教会の鐘も鳴らさず、子供たちの参列も禁じた。

 大公の棺に鉄兜と軍刀、勲章などで飾られてたが、ゾフィーの棺には一対の白い長手袋と扇しかなく、大公より1段低く()えられていた。

 ウィーン市民には不人気な大公夫妻だが、「いくらなんでもひどい仕打ちだ」と同情の声があがり、宮内大臣への怒りが湧き起こり、いつしか「セルビア討つべし」と変わっていった。

 

 大公夫妻をないがしろにしたモンテヌオーヴォ候の祖母はマリア・ルイーゼで皇帝の祖母だった。

 夫妻の遺体はウィーン西駅から列車でアルトシュテッテンに運ばれ、館に埋葬された。


「オーストリア=エルトリア帝国の現状では、バルカンに確実な軍事基地がなく、セルビアには帝位継承者暗殺の責任を負わせるべきではありません。いかなることがあってもセルビアと開戦してはなりません」

 エルトリアのティサ首相が皇帝に懇願した。

「ウィーン政府はセルビアを孤立させ、その政治能力を皆無にさせるつもりである。そしてセルビアが十分な謝罪をせぬ限りは、軍隊の動員もあり得る」

 フランツ・ヨーゼフはドイツのヴィルヘルム2世に伝えた。

「ドイツはいかなる場合でも、仮に戦争がヨーロッパ的規模に拡大した場合でも、ハプスブルク王朝を援助する」

 ヴィルヘルム2世は皇帝に明言した。

 ティサは開戦を止めるよう勧告し続けたが、7月12日の閣議で「7月23日の午後5時、ベオグラードでセルビア政府に最後通牒(つうちょう)を伝達する」と決議された。


 ベオグラードの最後通牒にロシアは激怒して国際会議を開催する必要があると主張した。

 英国とロシアは最後通牒に対する回答の期限がわずか48時間とは短すぎると異議を唱えた。

 ロンドン政府はセルビアの後ろ盾のロシアが即座に開戦に踏み切るのではないかと警告を発した。


 7月25日。

「オーストリアは開戦に動くのかなぁ」

「さすがに農民まで兵隊に取られては食糧不足になるから、情勢は悪化しないで欲しいよ」

「小麦とチョコレート、砂糖にコーヒーはたんまりあるから、食事に困ったら駆け込んでね」

「リアちゃん、商売上手いねぇ」


 夕方にはフランツ・ヨーゼフは陸軍大臣を呼んでセルビア、モンテネグロに向けて8軍団を動員するよう指令した。

 7月28日。ルーマニア首都ブカレスト経由で、セルビア政府に対して電報で宣戦布告が通達された。

 その間、英国は調停斡旋(あっせん)用意があると表明した。

 ドイツも提案を受けるよう勧告した。

 フランツ・ヨーゼフは英国の提案を断り、ヘッツェンドルフ将軍の進言通りに、フリードリヒ大公に全軍の指揮を委ねた。


 7月30日、セルビアに独立保障していたロシアは総動員令を発動した。

 ロシアに刺激されたドイツはシュリーフェンプランにそってフランスへ侵攻するため近場のベルギーを攻めた。

 8月1日にドイツはロシアとフランス、英国に対して宣戦を布告した。

 英国はベルギーを支援するために参戦した。

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