暗雲
妖精界のコーヒー豆やカカオ豆、小麦とサトウキビ農場とチョコレート加工工場。
これらの土地は元々はノーマルエルフのものだった。
武装したノーマルエルフ集団は2つのグループに分かれトロールたちを襲おうとしたが、巨大な土人形が一団を蹴散らした。
次にホブゴブリンたちを襲撃しようとすると、上空から赤竜が降りてきてエルフたちを燃やしたり噛み殺していた。
「あの竜、旦那さんを半分食べてからここの守り竜に変わったそうだ」
「ほう、あのあんちゃんもやりおるなぁ」
ホブゴブリン長とトロール監督はのんきに血まみれの農地を眺めていた。
「ご苦労さま」
トロールのおかみさんとホブゴブリンたちはパンケーキとチョコレートケーキを赤竜に与えた。
竜はうっとりとした目で菓子を食い尽くした。
1905年2月のエルトリア議会選挙では、ティサ首相率いる自由党は惨敗した。
フレェレンツ・コッシュートの独立党が166議席で過半数を制していた。
「あのラーヨシュ・コッシュートの息子を皇帝が認めるのかねぇ」
「まぁ、何にしても穏健派より我らの独立党が第一党になったのだ。喜ばしいことだ」
常連客が話し込んでいるなか女性客たちがカウンター席を占拠した。
「マシロちゃんかわいい」
「私もトルココーヒーちょうだい」
女性客は長い舌でイブリックを操るでぶトカゲを愛でていた。
1908年7月3日にトルコで「青年トルコ党」による革命が起き、ロシア政府はオーストリア側にダーダネルス海峡の自由通過を承認してくれる代わりに、帝国がボスニア・ヘルツェゴビナを併合するのを認めていいと提案してきた。
後に二重帝国のボスニア・ヘルツェゴビナを併合した。
ベオグラードではセルビア人たちが予備兵を招集して国境に軍隊を派遣していた。
1909年夏、帝国内では物価代わりに高騰し、市民を苦しめていた。
カフェ「テレーゼ」はコーヒー豆、チョコレート、砂糖、小麦、王宮内でのハチミツなど自給していたので経営には問題なかった。
長年の間、価格が据え置きのカフェは客足が途絶えることがなかった。
1912年になるとエルトリア内のマジャール人以外の諸民族(旧王族と養蜂家のハルダーフォルクを除く)は、従属的立場から脱したいため、クロアチア、スロヴェニア、ダルマチアと連合国家を作ろうという動きが見られた。
帝位継承者のフランツ・フェルディナント大公は三元主義を支持していた。
セルビアは同じスラブ民族の新国家樹立を目指していたが、クロアチアの主張する連邦主義を否定していた。
セルビア人はセルビアを主とする中央集権国家を望むので、セルビア人はクロアチアに肩入れするフランツ・フェルディナント大公を危険人物とみていた。
大公はオーストリアのドイツ人の地位確立のためにマジャール人、チェコ人、ユダヤ人を排斥すべきだと声高らかに主張していた。
皇帝とは反りが合わず、皇帝と甥の対立はシェーンブルン対ベルヴェデーレと宣伝されていた。
フランツ・ヨーゼフに信頼を寄せるオーストリアの人々では大公は不人気であった。




