発展
産業革命のオーストリアは経済が発展していた。
ボヘミア、チロル地方の炭田、ズデーテンやベーメンやメーレン、シュタイヤーマルク地方の製鉄、ニーダーエースタライヒ州、グラーツ、ブリュンなどの化学工業、メーレンの武器製造などがオーストリア産業を豊かにした。
鉄道の延長でベーメン、メーレン、チロル、シュタイヤーマルク地方の工業製品は、農業国エルトリアへ送られ、ドナウ川下流のヴォイヴォディナ地方で生産される穀物や野菜、果実などはウィーンへ、プラハへ、インスブルックへと送られた。
ウィーンの中世以来の市壁は取り壊しが進み、広く豪華な道路ができた。
市内をリングのように取り巻くことから、環状道路と呼んだ。
10月にデオンたちが王宮に戻ってきた。
ゾフィーは夜になってデオンの部屋に来て、サラマンダーマシロを膝にのせて聖書の読み聞かせをしていた。
「これ、毎晩続くのかよ!」
マシロには不満だが、ゾフィーはエルトリアで過ごしているシシィの文句を言わなくなった。
しおれた感じでもう覇気がなかった。
1868年4月22日。ブダから30キロ離れ、森林に囲まれたゲデレー城で、シシィは女児を出産した。
ウィーンのカフェでは女の子で良かったと客が盛りあがった。
「王子ならエルトリアの王になるし、その子がオーストリアから離れる恐れがあるからな」
「何より女の子で良かった」
「やはりアンドラーシの子かなぁ」
「きっとそうに違いない!」
「こいつらは気楽でいいよな」
デオンはマシロにささやいた。
「全くのんきな連中だぜぃ」
マシロはクリームをすくっていた。




