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新生デオンの暇仕事  作者: kazfel
ハプスブルクの黄昏
72/185

誘惑

 8月18日、シシィは実家から弟を連れてウィーンへ戻って来た。


 9月にはプロイセンではビスマルクが首相に就任した。

 30日のプロイセン議会で「現代の諸問題を解決するには鉄と血によるしかない」と演説した。

 10月には外相を兼任した。


 1863年5月。デオンらはエルトリアに帰るとルカが迎えてくれた。

「デオンのスーツが古いから新しいの作ったの。着てみて」

 デオンは白い折り襟のシャツと茶色チョッキ、緑のポケット付きツィード・ジャケットを着込んだ。

「これはいい、ありがとう!」

「カフェの服もお楽しみって」

 ルカはいたずらっぽく笑っていた。


 カフェの開店前にデオンはストライプの綿のシャツにサラマンダー刺繍入りの折り襟。

 バックル付きの幅の広いベルトをつけた。淡い青系の長いスカートは無地だった。

「サラマンダーかわいいし、デザインはいいね」

 リアはいつもの日常に戻った。


 イタリア北部のニースとサヴォイを手中に収めたナポレオン3世は、メキシコに傀儡(かいらい)政権を樹立しようとフランス軍を派遣していた。

 そしてマクシミリアン大公に「あらゆる手段を講じて支援するからぜひメキシコ皇帝になってほしい」と誘った。

 大公妃のベルギー王女シャルロッテが「私も皇妃になりたい!」と夫を説得し、大公もメキシコで帝国を築きたいと、トリエステに近いミラマーレ城館で夢を育んでいた。


 デオンらがウィーンに戻ると、翌年の冬にかけて兄弟はメキシコ問題について協議していた。

 皇帝は承諾して、マクシミリアン大公がメキシコ皇帝になることを受託した。

「ナポレオン3世なんて、詐欺師じゃないですか! 騙されてはいけません」

 ゾフィー大公妃が叱った。

「ええ、口車に乗ってはいけません」

 シシィも一緒に反対した。

「兄の元にいるよりはマシでしょう。いつまでも日陰者になりたくはないのです!」

 大公は二人と共に「はるか南米大陸へ渡っても無意味だ」「ナポレオン3世に利用されるだけだ」と反対している縁者の圧をはねのけた。


 ルイ15世の影武者だったデオンは国王の死と共に歴史の華やかな舞台から降りた。

 メキシコ皇帝になりたい大公の気持ちが理解できないわけではなかった。

「この一族は何でも兄が一番なんだな。後でやばくなったら逃げちゃえ!」

「そんなに簡単に帰れるところではありません!」

 デオンはゾフィーに叱られた。

 エリザベートがウィーンにいる間、ホーフブルク王宮裏の通りにあるデメルでよく菓子を購入していた。

 先にデオンを女官姿に着せ替えた。

「やっぱり、あなたはきれい!」

 シシィがデオンを眺めて美女アルバム用の写真を撮らせてから、連れ立って出掛けていった。

 シックな店内でシシィはアイスクリームを頼んで王宮で仲良く食べた。


 5月21日にはデンマーク戦争が休戦した。

 フランツ・ヨーゼフとヴィルヘルム1世はベーメンのカールスバートで戦争の行方を協議していた。


 1865年6月、フランツ・ヨーゼフは数ヶ月にわたった妻とエルトリアからの要請でブダを訪問した。

 国内法の代わりにエルトリアに適用されていた軍事裁判制度を廃止した。

 言論統制に違反した者の恩赦を出した。

 エルトリア側は憲法の制定と皇帝のエルトリア即位を要求してきた。

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