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新生デオンの暇仕事  作者: kazfel
ハプスブルクの黄昏
59/185

デオン・ド・ボーモン

 1852年10月中旬。デオン・ド・ボーモンはブダ王宮のフェンシング場で、赤毛の青年を相手にレイピアを弾かせ、青年を降参させた。

「デオンさんは容赦ないですねぇ」

 赤くて長い牛の尾を振った美形の青年が愚痴った。

「ユーリの剣が甘いだけだ」

 緑のフロックコートのデオンは、赤毛を後ろに束ねたユーリに返した。

 青いフロックコートの大柄の兄たちはまだまだ甘ちゃんだと、デオンは剣を構えた。

 友人の父親に似た美顔で耳が尖った茶髪の青年キリルが相手になった。


 キリルは小柄の金髪青年への精一杯の突きをあっさりとかわされ、首元がレイピアで触れられた。

「デオンさんを傷つけなくて良かった」

 美貌のデオンは妖精騎士と、王宮のハルダーフォルクたちに慕われていた。

 彼はノーマルエルフのキリルとハルダーフォルクのユーリと違い、人間だ。

 赤い石の力で妖精一族と同じ不老不死で、旧王マシロ一家に仕えている。

「デオンさん、もう一試合お願いします!」

 尻尾を激しく揺らせたユーリが大声で要請した。

「じゃあ、今日はこれで終わりだぞ」

 デオンは華奢(きゃしや)な身体で長身体躯の兄の剣を簡単に弾いて勝利した。

 デオンの緑色の瞳、揺らめく束ねた美しい後ろ髪、女性を思わせた剣士は男性の活力にあふれ、次に挑戦した女性近衛兵の牛の尾エルフ80人を連続で勝った。

 ルカだけでなくキリルもデオンの繊細な指先を見つめていた。


 翌日、デオンは朝の入浴後、丘のブダ王宮から出て、デオンとユーリ、赤毛の妹ルカに茶髪の妹カムナギ。

 白い狼の頭上に乗った橙色の太ったトカゲ、サラマンダーマシロと連れて行った。

 王宮先のマーチャーシュー教会を通り、大きめのカフェ「テレーゼ」に着いた。

 カフェ内は漆喰の白壁に金の装飾の派手なロココ様式で広めの店だ。

 デオンはすみれ色のドレスに着替え、ルカとカムナギは調理室に入った。

 キリルとユーリはコーヒー豆を砕き始めた。ろ過して飲むタイプはマシロの息子たちが注ぐ。

 マシロのために豆を細かく砕き、イスに乗ったマシロは長い舌でイブリックの取手を絡めた。

 キリルは水とユーリは砕いたコーヒー豆をイブリックに入れた。

 マシロはサラマンダーでコーヒーを温めていた。デオンもといリアは来客の給仕で忙しかった。

 マシロはコーヒーが沸騰したらサラマンダーの背から離し、浮かんできた泡をカップに注いだ。

 キリルが王室特製のハチミツをカップに入れて生クリームをユーリが入れた。

 リアは客の注文が入ると調理場の2人にハプスブルクデザートを頼んだ。

 夕方には営業が終わりリアはコーヒーを飲み、チョコレートタルトを頬張った。

「妖精界でカカオの木の栽培、加工工場と板チョコレート工場を造りたいなぁ」

 リアはスイスのチョコレート生産を真似て、妖精界のミルク川を加えたらさらに甘くなり美味しく作れると説いた。

「ホブゴブリンに作らせるんでしょう?」

 ルカに聞かれてリアはうんと返事した。

「余計な経費を使う前に出来ればチョコレートも生産ラインに入れたいんだ。おやつの板チョコ食べたいしな」

 いたずらっぽくデオンは笑った。


 10月17日、王宮中庭の黄緑ドアからデオンとリア、キリルが妖精界へ入った。

 淡いレモンイエローの空は雲すらなく、麦とコーヒー豆には、鼻がとても大きく牛尾の短躯たんくなトロール労働者。

 サトウキビはこちらも小柄でネズミ頭に毛むくじゃらのホブゴブリンが働いていた。

 間にミルク川が蛇行していて、彼らは農園周辺に小屋を建てていた。

 妖精界の木々は5色の葉を蓄え、遠くに山々が臨めた。

「やぁ、デオン殿。皆美味しい砂糖が食べられて大満足ですぞ」

 ホブゴブリンの長がデオンに寄った。

「そこでだな、カカオ豆栽培とカカオ豆加工とチョコレート工場建設、運営を頼みたいのだが」

「はぁ?」

 さすがにホブゴブリン長は目を丸くして硬直してしまった。

タイトルを変えて続編を書こうとしたけど、1から描写するのが急に面倒になり連載設定にした。元のタイトルは一部変更

ただし次回以降は不定期連載の予定

ちゃんとプロットを作りたい

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