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新生デオンの暇仕事  作者: kazfel
喜びに満ちた調べに共に声をあわせよう
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ちびナポレオン

 翌日の午後、王宮の中庭に小フランツがいたのでサラマンダーマシロを持ったデオンは声をかけた。

「フランツ、こんにちは」

 デオンはしゃがんだ。

「マシロの、いもうとだ。おねえさん、こんにちは」

「お前は何を伝えているのだ」

 デオンはマシロの両脇を左手でつかみ、右手でぷくぷくした腹をつまんだ。

「ルカの妹だぜ。いい女が来るぞってな」

「私は……すごく面倒になってきた」

 説明を諦めたデオンはマシロを小フランツに渡した。

 日曜日にはシェーンブルン宮殿は市民にも開放された。

 フランツ坊やは侍従とマシロ、デオンを連れて宮殿へ遊びに行った。5月初めの暖かな日射しには、市民たちも庭園へ訪れていた。

 白、赤、黄色の花々が長方形の芝生に幾何学的に植えられて咲き乱れている。シンメトリーに置かれた芝生で庭の彩りが繊細で鮮やかでもあった。

「あ、ちびナポレオンだ!」

 少年グループが小フランツへ集まって来た。

「あまり近付くなよ。驚くからな」

 デオンは子供の歩みを制した。

「白い犬がいる!」

「あれはいい?」

「あいつは、頭のでぶトカゲのペットだ」

「わー、小さいのがいる」

「でぶトカゲだー」

 子供たちはでぶ、太っちょと騒いでいた。

「あいつ、地味に復讐しているな……」

 白狼頭上のマシロはデオンに向いた。


 1816年11月、フランツ帝の4回目の結婚式が行われた。

 式は簡素なもので、花嫁のバイエルン王女カロリーネ・アウグスタ・シャルロッテは披露宴でサラマンダーマシロを持ち上げた。

「小さくてかわいい。この子もかわいい!」

 カロリーネはフランツ少年も抱き上げて頬ずりした。


 1817年5月13日、レオポルディナは聖アウグスティヌス教会でカール大公が代理人として挙式をあげた。

 メッテルニヒそばのデオンが尋ねた。

「いきなりの代理人挙式でどこへ嫁にやるのだ?」

 年頃の皇女なら、政略結婚だろうとデオンは察した。

「ブラジルですよ。そこの革命を止めるのと、先方の皇帝あっての願いでね」

 メッテルニヒは冷ややかに笑った。

「そんな遠くへ行かせて、何事もなかったらいいのだろうけどね」

 フランツ帝よりメッテルニヒが権力を握っいて、ハプスブルク家は外相に逆らえない状態なのは、デオンにも分かっていた。

 ただ、メッテルニヒの真意は計りしれなかった。

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