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新生デオンの暇仕事  作者: kazfel
大ドイツ帝国の興亡
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世界恐慌とオカルト・パージ

 1939年10月24日、ニューヨークの株の大暴落によって世界恐慌が起きた。

 ウィーンやエルトリアでも失業者であふれていた。エルトリアでは農業の過剰生産恐慌で現れた。

 貧農ばかりの農村では、日雇い賃金が低下し、失業が増えて飢えも広がった。

「工場がついに潰れた!」

「ここにもこれないや」

 深刻な経済危機では客足が遠のいていた。

「じゃ、私たちも休もう」

 店を閉めてデオンたちは帰宅した。クーシーの部屋で双子の様子を見た。ベビーベッドで眠っていた。

「もう少し大きくなったら、我が君は遊び相手になってくださいね」

「またガキ共に引っ張られるのかよ」

 デオン頭上のマシロは文句をたれた。

「散々ハプスブルク家に仕えたのに、我が子では不服なのか」

「しゃーねぇなぁ」


 朝食あとは各自集まって広間で新聞を読んだ。

「労働階級、中間層の生活が極度に苦しいそうだ。なら、我々で炊き出ししようか。料理は人任せだけどな」

 デオンが提案した。

「グヤーシュを王宮広場で皆さんに出しましょう」

 クーシーやローシーも提案に乗ってきた。


 人化したマシロが大鍋でグヤーシュの味を整えた。肉は分裂する獣2ピィ、パプリカは庭で栽培したもの。余った玉ねぎを加えてビーフシチューもどきが出来た。

 王宮広場で市民たちが集まっていた。

「これはありがたい」

 連日、市民が殺到しマシロに礼を言っていた。

「たまにはでぶトカゲに会いたいなぁ」

 デオンは肉をひたすら切っていた。


 1930年9月。

 広間で皆が集まって新聞記事に注目していた。

「ベルリンでは総選挙があって、アドルフ・ヒトラーが率いる国家社会主義ドイツ労働者党が、社会党についで第2党に躍りでだって。前までは最下位だったナチス党が得票率18.3%、議席数107だって」

 ルカが読み上げた。

「エルトリアも選挙あるのかなぁ」

 カムナギはのんきに言った。

「ベトレン内閣も終わりそうだな。こんな経済じゃ、誰も救えない」

 デオンはでぶトカゲを持って双子に会いに行った。

 

 1932年10月、右翼急進主義者のゲムベシュ・ジェラが政権についた。

 歩けるようになったジュヌヴィエーヴとティモテはサラマンダーマシロを前後に持って、引っ張り合っていた。

「うげぇ」

 でぶトカゲが少し伸びる様がおかしくてデオンは笑い転げた。


 1933年。ヒトラーが政権につくと、ゲムベシュは外国の首相で最初にヒトラーを訪問した。


 この頃、ドイツ国内の中央占星術事務所の指導者が逮捕され、占星術の関連文献の出版が禁止された。

 1934年8月2日には、ベルリン警察があらゆる売占業を禁止、国内のオカルト関係の書籍を没収した。

 魔術教団「東方聖堂騎士団」が解散、指導者たちは強制収容所へ送られた。


 1935年には占星術師たちはドイツ労働戦線に加入させられた。

 ドイツで絵画の展覧会を開く予定だったアレイスター・クロウリーは弟子の逮捕に愕然とし、ヒトラーは我々の味方ではなかったのかと嘆いた。


 1937年にはトゥーレ協会とフリーメーソン、神智学協会が活動停止となり、アドルフ・ランツの「新聖堂騎士団」も活動停止処分を受けた。


 1941年にはドイツ国内の神秘主義団体は壊滅状態で、指導者たちは強制収容所へと連行されて行った。

 

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