第二話
昔々、在日のチョン君はとても貧しい生活をしていました。食べるのには困りませんでしたが、粗末な家に住んでいました。そこはとても冷たく、うす暗い場所でした。
ある日のことでした。チョン君の家のドアを叩く者がおりました。チョン君がドアを開けると、そこにはサヨク先生が立っていました。
「差別はありますか?」
サヨク先生が聞きました。
「この国は差別だらけです。どうして僕が持っているお金は、日本人のより少ないのでしょうか。絶対に、日本人が嫌がらせをしているのに決まっています」
「そうですか……」
それだけ言うと、サヨク先生は帰っていきました。
次の日、チョン君が目覚めると、家に大金が届けられていました。しかも、それは毎月かかさず送られて来ました。
そのお金を使って、チョン君はとてもきれいな家に引っ越しをしました。そして、とても裕福な暮らしをするようになりました。
それからしばらく経ったある日のこと、家のチャイムが鳴りました。
チョン君がドアを開けると、またサヨク先生が立っていました。
「差別はありますか?」
「この国は差別だらけです。どうして僕には、人に誇れる歴史がないのでしょうか。絶対に、日本人が嫌がらせをしているのに決まっています」
「そうですか……」
次の日、チョン君が目覚めると、歴史が変わっていました。日本人がチョン君に、昔とてもひどいことをした、ということになっていたのです。またテレビでは、朝鮮の文化がとても良いものとして放送されていました。
それで、チョン君は悪いことをしても、日本人が昔ひどいことした、と言えば許してもらえるようになりました。
それからしばらくして、またサヨク先生が訪ねてきました。
「差別はありますか?」
「この国は差別だらけです。どうして僕は、良いところに就職できないのでしょうか。絶対に、日本人が嫌がらせをしているのに決まっています」
「そうですか……」
次の日、チョン君が目覚めると、ある手紙が届けられていました。そこには、待遇の良い、とても入るのが難しい就職先に、チョン君が優先的に入れることが書いてありました。
それからチョン君は、たくさんある就職先の中から、どれを選ぶか悩むことができるようになりました。
*
今では、日本人よりも、チョン君の方がずいぶん良い暮らしをするようになっています。
「差別はまだ、ありますか?」
サヨク先生が、言いました。
「この国は差別だらけです。どうして僕には、参政権がないのでしょうか。絶対に、日本人が嫌がらせをしているのに決まっています」
「そうですか……」
「ちょっと待ってください」
帰ろうとしたサヨク先生を、チョン君が呼び止めました。
「日本人が、差別をやめることは、これからもずっとないでしょう。それで考えたのです。僕が日本人になることにします。そして、日本人を中から良い人間にしていこうと思います」
「そうですか……」
次の日、チョン君が目覚めると、チョン君は日本人になっていました。そして毎月のお金も、都合のよい歴史も、恵まれた就職先も、すべてが無くなっていました。




