第一話
みなさまは、十二支の動物がどのように決められたか知っていますか。昔々のある年の暮、お釈迦様が動物たちを集めて、新年のあいさつに来た順番で十二支を決めると言ったのです。
そして、一番にあいさつに来たのはネズミでした。ネズミは、猫に嘘を教え、牛の背中に乗ることで一番になることができたのでした。
*
学校で、その話を聞いた在日のチョン君は、なんて頭のいいネズミだろうと思いました。それから当然のように、このネズミは朝鮮から来たネズミだと確信しました。
授業が終わると、チョン君は教室を出て、さっそく職員室に向かいました。担任の、サヨク先生に会いに行くためです。
「サヨク先生、国語の授業で、十二支のお話を勉強しました。それで、僕はすごい発見をしてしまいました」
「へえ、どんな発見をしたんだい?」
「十二支のネズミは、実は朝鮮から来たネズミだったのです」
サヨク先生は、チョン君のことが大好きでした。朝鮮という国に、とても強い憧れをもっていたからです。サヨク先生の憧れは強すぎて、反対に自分の国が大嫌いになってしまうほどでした。
「先生、今までどうして気づかなかったんだろう。すごいよチョン君、確かにこのネズミは朝鮮から来たに違いないよ。日本にこんな頭のいいネズミがいるはずないもの」
チョン君とサヨク先生はとても興奮していました。朝鮮から来たネズミが、知恵を使って一番の動物になる。二人にとって、これほど心がおどる物語はありませんでした。
「日本人に、このことをちゃんと教えてあげないといけないと思います」
「その通りだね。先生は、これから日本中の子供たちに、このことを知らせるよ。ちゃんと教科書にも書かないといけない。十二支の物語の真実が隠されてしまっているからね」
それから、チョン君とサヨク先生は一生懸命にこの話を広めました。あまりにも自信を持って言うので、みんなも、「そうかもしれないな」と思うようになりました。
ある日のことでした。チョン君とサヨク先生が道を歩いていると、「朝鮮に帰りなさい!」という声が聞こえてきました。二人が驚いて声のした方を見ると、ある家の勝手口から、一匹のネズミが、ほうきを持った女の人に追い出されているところでした。女の人は嫌そうな顔で、一生懸命にほうきでネズミを追い出していました。
「なんてひどい……。あんな薄汚いネズミに、朝鮮に帰れとはどういうことだろう」
「本当に、この国は差別がひどい……」
こうして、ますます二人は日本が嫌いになっていくのでした。




