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この広い宇宙と交信中  作者: 泉河ミナヅキ
第二章 「カタナシ」の子供
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第2章7節 オキュラスという存在

 ふわふわと全身を包む不安定な感覚で、まだ夢の中にいるのだと分かった。これが夢の中だと自覚しながら夢を見ることは、これまでにもあった。

 一つ奇妙なことがあるとすれば、夢の中のはずなのに痛みを感じることだ。

 右足の膝から下が真っ赤に染まり、ドクドクと鮮やかな痛みを訴えている。


「何があったんだ。……ああ、とうとう脚を切り落としたか」


 大人の男性の声が頭上から降ってくる。どうやら俺は地面に倒れているようだった。


「どうする、この忙しい収穫の時期に……。お代官様に収める年貢も揃っていないのだぞ」


「手を下さずとも良い、納戸に閉じ込めておけ」


「そうだな、他の子供ならともかく、このガキは――」


 その言葉は自分が言われたも同然だった。

 自分を取り囲む大人はこちらを見ておらず、都合の悪い事態をどう収めるか必死な形相で話し合っている。少し離れたところで、血の付いた(くわ)を抱えた子供が何食わぬ顔で立っていた。

 自分の足を切断したのは彼なのだと、無意識のうちに理解していた。

 その子供の顔なんて知らないし、誰に足を切られたかなど理解できるはずがないのに。

 切断された足の痛みでチカチカと眩む視界に、夕陽に照らされた田んぼが映った。

 ――この町に田んぼは存在せず、俺も田んぼの事物を目にしたことはなくて。

 俺を取り囲む大人も、事態を静観する子供達も薄汚れたボロの着物を着ている。時代劇を見ているみたいだ。

 それにしては鮮明な景色だなと感心した直後、視界が強烈な光に覆われた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 じっとりと背中に汗が張り付き、呼吸は荒くなっていた。生きた心地がしない。

 どちらが自分にとっての現実か、一瞬判別が付かなくなるほどリアルな夢だった。起きてすぐに自分の足を確認してしまったほどに。

 脚が無事だった代わりに、全身に鈍い痛みが渋滞していた。

 清潔感のある花に似た香りと、指先に伝わるシーツの感触。自分は覚えの覚えのない部屋でベッドに寝かされているらしかった。


「うっ……」


「タカヒロ? 目が覚めた?」


 ベッドの脇に置かれたイスに座っていたソリスが、立ち上がって俺の顔を覗き込む。長い睫毛に縁取られたマリンブルーの瞳が、透き通るような白い肌が、鮮明に視界に映った。


「目、元に戻ってる……」


「プラメルの医療技術で治療したの。全身に毒が回ってて、大変な状況だったんだから!」


 違和感を覚えて手を翳かざすと、点滴のようなチューブが手の甲に刺さっていた。点滴は奇妙な形の医療機器らしきものに繋がれており、地球外の医療技術のお世話になったのだと悟る。


「ここはどこなんだ?」


「王立病院の療養室。王宮に行ったらまた危険な目に遭う可能性があったから」


「ってことは、ここは惑星プラメル……?」


 白いタイルが張られた床も、純白の壁も天井も地球のものと相違なく感じる。違和感を覚えるものと言えば、目の前で揺れる少女の触覚くらいだ。


「オキュラスが転移を使って、搬送してくれたの。使われたのは大した毒じゃなかったけど、他の惑星原産の毒なんて地球人の身体では分解しきれなかったみたいで」


 記憶の混濁する頭を押さえて、この部屋に辿り着く前の出来事を少しずつ思い起こす。先程のリアルな夢の内容が、自分の記憶のようにこびりついて消えない。


「プラメルの人間なら生体防御機能で防げる毒性でも、地球人は免疫ゼロの状態だから」


「そっか、俺……危険な状態だったんだな。その、オキュラスさんは?」


 姿の見えない彼女のことを尋ねると、ソリスは顔を伏せた。


「今は療養中。惑星を跨ぐ転移はオキュラスの負荷も相当大きかっただから」


 セプティムと名乗った精神体(アストラル)とオキュラスのやり取りで、気になるところが多々あった。

 精神体についての講義は受けたのだが、やはり現地の人にしか分からない部分はあるだろう。俺がこの短期間で教わった話なんて、この惑星では当たり前に知られている伝承のごく一部なのだろうから。

 何だか星逢町に来て苦心するソリスの気持ちが、初めて分かった気がする。


「あの精神体(アストラル)はオキュラスさんのこと、お父様の末端って言ってたよな」


「……そうだね」


 ソリスが頷いたのを見て、言葉を続ける。


「あのさ、オキュラスさんって創造主と同調してたりするのか?」


「……同調よりも深い次元で、オキュラスはクレアトル様の出力装置なんだよ」


 出力装置。コンピューターの画面やプロジェクター、スピーカーなどの総称。

 それが分かっても、なぜ彼女が出力装置という言葉を使ったのか分からない。


「原理は同調と同じで、高位の存在が同調した人に自分の能力や見解を授ける。惑星プラメルではそうやって、精神体を宿す憑代(よりしろ)を頼って発展してきた」


「憑代……? 二重人格みたいに、その人に宿った精神体(アストラル)の意志が表に出てくるのか?」


「本来はそう。同調が不完全だと中途半端に精神体の記憶が入って来たり、能力を引き出せなかったりするけど。精神体は自分に近いと思える相手にしか宿れないの」


 だから、同調という言い方なのか。


「創造主クレアトル様は思想や自我のない、まっさらな相手にしか宿れない。だから、クレアトル様を宿すための個体は、生まれた時からクレアトル様の憑代にされる」


「……赤ん坊の時に同調して、そこから自我が芽生えたりするのか?」


「芽生えないこともあるよ。生まれた時から高位の存在の感性が備わってて、自我のない何かを宿したまま育つんだから。普通に育つわけがない」


 膝の上で拳を握り締めたソリスは、思い詰めたような表情をしていた。

 神に相当する存在の知見や能力を得られるのなら、彼女の国では生まれたての子供を使うことも珍しくはないのかもしれない。

 文化による認識の違いに関しては、ソリスも地球に――というか星逢町に対して疑念を覚える部分もあるだろうから、あまり触れたくはない。

 自分の両頬を叩き、シーツを剥がして床に足を突く。


「よし、これからのことを考えよう。学校もあるし、いつまでもこっちにはいられないよな」


「あんまり長くはいられないけど、こっちで二日過ごすくらいは大丈夫」


「え……ああ、時間の流れが違うってやつか。便利だな」


 両足を突いて立ち上がると、視界が歪んでふらついた。


「衰弱してずっと寝てたんだから、安静にして」


「お、おう」


 小さな手で腕を支えられ、ベッドに押し戻されてしまった。間近に迫った端麗な容貌に心臓が跳ねたのは、目眩(めまい)のせいだと信じたい。


「オキュラスさん、無理して助けてくれたんだよな。お礼言いたいけど、今会える状態かな」


「……良い機会だから、タカヒロは会っておいた方がいいかもね」


 軽くストレッチして関節を伸ばし、凝り固まった筋肉を動かす。長時間同じ体勢で寝かされていたらしく、関節がビキビキと鳴った。

 療養室の外は白い空間が広がり、見たこともない医療機器を乗せたワゴンを引く医者らしき人とすれ違った。清潔感のある高い天井や床にも、病院らしさは感じる。

 病院内ですれ違う医者や看護師らしき人達には、ソリスのような触覚はなかった。目や髪、肌の色は地球ではお目にかかれない配色の人もいるものの、身体的特徴に関してはほとんど俺達と変わらない。腕や指の本数に到るまで、地球人とほぼ相違ない造形だった。


「ここがオキュラスの療養室だけど……心の準備はしといた方がいいよ」


 彼女は深刻そうな口調で注意喚起をして来た。

 転遠くの惑星に生身で人間を転移させるなんて、無茶な能力を使ったせいで反動が出ているのかもしれない。どんな重体でもショックを受けないよう、自分に言い聞かせて療養室の扉の内側に光景に踏み込んだ。

 窓一つない部屋は照明が落とされ、墨で塗り潰したように真っ暗な空間が広がっていた。暗がりの中に淡い光を放つ培養液が、部屋の奥に設置されている。

 青く発光するテラリウムのような容器の中に、金髪の彼女は漬け込まれていた。


「どういう療法なんだ、これ……」


「セプティム様も言っていたでしょう。オキュラスは人間じゃないの」


 チューブの内蔵された培養液の中で、目を閉じた白皙の彼女はマネキンのようだった。

 人間と変わらない容姿なのに、何が違うのだろう――と思って気付いた。

 培養器に入った彼女には生殖器に当たるものがなく、のっぺりとしたマネキンのような体付きをしている。じっと見て良いものとは思えず、反射的に目を逸らした。


「もう少しで起きられると思うから、療養室に戻って待つ? 待合室で待っててもいいけど」


「待合室あるなら行こうかな。他の惑星で探索できる機会なんて貴重だし」


 心の準備はしておいた方がいいと、ソリスが言っていた意味が分かった。

 オキュラスが人間ではないと聞いてはいたが、いざそれを実感すると応えるものがある。

 見覚えのないソファらしきものや奇妙な機器の並ぶ待合室は、全体的に病院の待合室らしいなと思えた。一つ一つは馴染みのないアイテムなのに、そう思えるのは不思議だ。

 こちらの社会常識について話を聞いているうちに、医者らしき人がソリスの元へやって来て一言二言伝えていった。こちらの国の言語のようで、全く知らない発音ばかり飛び出していた。


「オキュラス、面会できそうだって」


「そっか、良かった……」


 時計がないから体感でしかないが、一時間ほど経って彼女の療養室に行くよう指示された。

 ソリスは部屋の外で待っているとのことで、俺一人で部屋へと踏み入る。

 電源の切られた培養液の水槽の横、イスに座った金髪の彼女が恭しく一礼した。


「タカヒロ様、傷の具合はどうですか」


 廊下ですれ違った人達と同じ入院服に身を包んだ彼女は、いつもより弱弱しく首を傾ける。


「俺は全然平気です。オキュラスさんも転移の影響で、大変な状態だったんですよね」


「私のことは心配しないでください。いくらでも替えは効きますから」


 入院服の五分丈の袖をまくり、オキュラスは治りかけの切り傷を覗かせた。


「タカヒロ様もご覧になりましたよね。私は彼らと同じ、血の通わない人工生命体なのです」


 透き通るように白い肌の下、薄紫色の細い血管が通っていた。彼女の傷口から流れたタールのような黒い粘液を、化け物に囲まれたあの場で確かに目にしている。


「創造主クレアトル様を宿す同調者は、知性も自我も持たないモノでなくてはならない。惑星すら(また)げる転移の能力は重宝しますし、精神体(アストラル)の気配を察知する創造主の知覚は便利でしょう」


 あの土手に来られたのも、セプティムという精神体の気配を感じ取ったからだと言っていた。我が子の気配を感じた、と。


「けれど、知性も自我もない存在なんて生まれたての赤子くらいです。国の発展のためとはいえ、高位の存在を入れることで、赤子に後遺症や成長過程の弊害がないとは言い切れない」


「だから、創造主を宿すための生命体を造ったっていうのか……?」


「はい。創造主の知覚を言語化して伝える程度の知能や、状況を読んで能力を発動する判断力を持たせるには、ガングリオのような知能を一切持たないモノは使えない」


 オキュラスは人間のものにしか見えない腕を持ち上げる。薄い入院服の袖から伸びる細い腕。


「彼らよりはヒトに近く、ある程度の知能を持った生命体――それが私です。セプティムが言った通り、人間ではないんですよ」


 覇気のない声色がそう思わせるのか、その言葉は寂しげに響いた。

 あの黒い化け物と同じ人工生命体。創造主を宿すために生み出された人造の知性体。

 初めて会った時、人形のような人だと思った。感情らしいものを感じさせない人。言葉を交わすうちに人間らしい機微を見せてくれるようになって、生まれた星は違くても同じ人間なのだと思えるようになっていった。

 その感情の希薄さが知性のない存在を宿したことによる影響なのか、分からないとしても。


「オキュラスさんに俺なら同調できるはずだって言われて、嬉しかったんですよ」


 彼女に掛けられた言葉が嬉しかった。

 彼女が人間ではなかったとしても、彼女の言葉で前を向けた事実は変わらない。オキュラスが惑星プラメルの事情や精神体について教えてくれたことが、星玉の主として頑張ろうと思うきっかけになった。

 右も左も分からない状況で、寄り添ってくれたのは確かだと思うから。


「こうして話ができて、嬉しい言葉を掛けてくれた人が、人間か人工生命体かなんて関係ないじゃないですか。オキュラスさんは俺達と同じだ」


 感情があって、話ができて、分かり合うことができる。

 それなら試験管の中で胚から造られた人工生命体か、受精卵から生まれたヒトかなんて関係ないはずだ。


「俺もソリスに言えてないことがあるんで、おあいこです」


「言えていない、こと……?」


「わざと黙ってたわけじゃないんですよ。ただ、言う必要がなかったから」


 自分の境遇を打ち明けるオキュラスの口振りには悔恨の色があったように思う。ソリスも彼女の正体を明かす時、思い詰めたような顔付きだった。

 こちらの世界の認識は知らないけれど、自分が完全なヒトではないと伝えるのは、勇気の要ることだったんじゃないかと思ったのだ。


「俺には父親がいないんです。戸籍に父親の名前はなくて、女手一つで育てられた」


 俺には、まだ言えていないことがある。

 睦月や爺さんにも言っていなくて、今となっては母親しか知らない素性。

 父親の分からない子供は、カタナシと呼ばれて忌み嫌われる。存在するだけで禁忌となる。

 けれど、人間は雌雄によって子孫を残す生命体だ。その事実は覆らない。

 自分に半分流れる血が誰のものか知らないだけで、その半分を形作った相手を父親と言えるには言えるだろう。その人が誰かは知らないが、誰もその正体を知らない理由は知っている。


「俺は――」


 それで何が変わることもない些細な出生。見た目で分かるものではないし、伝えたから何と

いうことはないものだ。

 けれど、オキュラスにとっては、きっと意味のあるものに映るだろう。


「――というわけです。プラメルだと一般的じゃないみたいですね」


 金髪の彼女は黙りこくったまま、ただでさえ白い顔を蒼白にしていた。

 いきなり打ち明けられても反応に困るかと思い、少し眉尻を下げる。


「だからって星玉の主になれないとか、それが弊害になってるってことはないですよね?」


「は、はい。私でも同調できるくらいですから、出生が弊害になることはありません」


「良かったです。ソリスも守ってくれてるし、星玉の主としての役目は(まっと)うしたいので」


 プラメルの常識に縁がない俺でも、この出自が好意的に受け止められていないのは分かる。創造主を宿すために人工知性体(オキュラス)を生み出したことも、禁忌のような扱いだったのだ。


「それを知って、俺を見る目は変わりますか」


「い、いえ。タカヒロ様が王女殿下の力になろうと苦心していることは知っています。生まれが足枷になるようなことは、あってはならないと考えます」


「ありがとうございます。俺も同じですよ」


 まだ療養が必要とのことで、お大事にと残して療養室を出た。地球に戻るにはまた『転移』を使ってもらう必要がある。あれほど衰弱すると分かっていて使ってもらうのは気が引けるが、彼女にしかできないことなのだ。

 看護師らしき人達とすれ違いながら、セプティムの言っていたことを考える。

 セプティムが星玉の主を――プラメルの王国を滅ぼそうとする目的が分からない。

 惑星プラメルをリセットしておきたいと言っていたが、これまで通りの王国ではいけない理由があったのだろうか。

 療養室から出ると、廊下の壁に背中を預けていた少女が不安げに目を伏せた。


「オキュラスはどうだった?」


「まだ療養は必要だって。でも、普通に話せる状態だった」


 報告を聞き届け、ソリスは胸元を押さえていた手の力を緩めた。


「オキュラスさんの出自について聞いたよ」


 ソリスの表情に悲愴な色が混じる。療養室に入る前から、彼女はそれを知られることを恐れているようだった。

 創造主の器を手に入れるために、人工知性体を造り出した国家。身内が取った行為に責任を感じているのだろう。


「オキュラスさんが何者だったとしても、あの人に救われたことは変わらないから」


 顔を上げたソリスは、真意を探るようにこちらをじっと見ていた。


「もう気付いてるかもしれないけど、俺は星玉の主として不完全なんだ。それをオキュラスさんに見抜かれて、きっと同調できるはずだって励ましてくれてさ」


「……創造主様の知覚で分かることがあったのかも。星玉が何かも知らずに持ってたわけだし、同調まで行き着けてなくても無理はないか」


 とりあえず、怒られたりしなくて安心した。

 他の惑星の人間が国宝の持ち主になること自体が特例らしいし、目くじらを立てることではないのかもしれないが――。いつまでも、ソリスに任せきりにするのは嫌だ。

 逸る気持ちで掌を握り締めた矢先、廊下の奥から悲鳴が聞こえた。


「侵入者ッ、侵入者だッ‼」


 猛スピードで走ってくる何者かがワゴンを引き倒し、一直線にこちらへと走ってくる。

 黒い塊のように見えたそれは、黒いローブで頭部まですっぽりと覆った人間だった。患者や看護師らしき人達が、迫り来る侵入者に怯えて逃げていく。


「っ、病院内で走らないでよ!」


 俺の前に飛び出したソリスが、相手のローブを掴んで引き止めた。

 気にするところはそこでいいのかと心の中でツッコミつつ、相手の姿をまじまじと見る。

 またセプティムが襲来したのかと思ったら、ローブに身を包んだその人はセプティムよりも小柄だった。ソリスが掴んでいたローブが脱ぎ捨てられ、中から人が飛び出してくる。


「危なっ! こう見えて俺も患者なんですけど……っ!」


 ローブの下から現れたナイフが、俺の腹目掛けて突き出された。人間の急所を的確に狙う動作には明確な殺意が乗り、場慣れした気配を感じる。

 ただ、ナイフを投げてきたあの精神体と違って挙動が(つたな)い。

 本気で急所を狙う殺意は感じるのに、一瞬の躊躇があった。

 その隙に相手の手を掴む。刃が腹に届くギリギリで刺突を食い止めることはできた。


「え、お前……」


「なんだ、宇田川って意外と動けるんだね~?」


 ナイフを突き立てようとする手の力を未だ緩めようとしない彼女は、学校のクラスメイト。ハニーブラウンの明るい髪と蜂蜜色の瞳は、平穏な日常の象徴のようなもので。

 ナイフを持っていたのは、この惑星にいるはずのない少女・向坂(さきさか)()(まり)だった。

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