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スライムの墓守
「こんな所に墓がある」
旅人は森の奥で、小さな墓を見つけた
墓石は手のひらほどの大きさ
刻まれている文字は
『ぷる』
それだけだった
墓の前では、一人の老人が花を供えている
「お孫さんですか?」
旅人が尋ねると、老人は笑った
「スライムだよ」
「……スライム?」
旅人は思わず笑いそうになった
魔物だ。
弱くて、冒険者の訓練相手にもなる
墓まで作るような相手ではない
老人は静かに墓石をなでた
「畑仕事を手伝ってくれてね」
「え?」
「水やりも、雑草取りも、収穫も
二十年、一日も休まなかった」
旅人は黙って聞いていた
「ある日、私をかばって魔物にやられた」
老人は花を供え直す
「村のみんなは『たかがスライム』と言ったよ」
風が吹いた
木々が揺れる
「でも…」
老人は少しだけ笑った
「私にとっては家族だった」
旅人は何も言えなかった
帰ろうとした時
草むらで何かが動いた
小さなスライムが一匹。
ぷるん、と跳ねると
墓石の前に落ちていた花を拾い
そっと墓の上へ置いた
老人は頭を下げた
美しい日差しが差し込む
旅人は森を出てまた歩きだした




