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異世界 郵便配達員

勇者と魔王は、最後の決戦を迎えていた



「今日で終わりだ、魔王!」



「来るがいい、勇者!」



剣と魔法がぶつかろうとした、その時だった!






リンリンリン。


どこからかベルの音が聞こえる


「すみませーん!

郵便でーす!」



一台の自転車が、二人の間を軽快に走り抜けた


乗っているのは、小柄なゴブリン


背中には大きな郵便袋


勇者は思わず叫ぶ


「危ない!」




ゴブリンは慣れた様子で止まると、一枚の紙を取り出した


「魔王様


代引きのお荷物です」



魔王は剣をしまった


「いくらだ?」


「銀貨三枚です」


魔王は財布を取り出す


勇者はその様子をぽかんと見ていた


「サインはこちらへ」




魔王は丁寧に名前を書く


「ありがとうございました」


ゴブリンは荷物を渡した


「それでは失礼します


よい一日を!」


リンリンリン。




ベルを鳴らしながら、自転車は去っていく


静寂。


勇者が聞いた


「……今のは何だ?」


魔王は荷物を抱えながら答えた


「郵便屋だ」



「決戦中だぞ!?」


「仕事の邪魔をするわけにはいかん」



勇者は黙った


確かに、その通りだと思った


魔王は荷物を脇へ置き、剣を抜く


「待たせたな」


勇者も剣を構える


「……ああ」


その日の夕方


異世界郵便局には、一枚の報告書が提出された



『本日も全配達完了なお、勇者と魔王の決戦のため、配達が三分遅れました

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