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古びた街を守るゴーレム

夜明けとともに、古い城門が静かに開く


きしむ音だけが、誰もいない街へ響いた


私は門番のゴーレム


三百年前、この街を守るためにつくられた


主人が最後に残した命令は、たった一つ


「街を守れ」


それ以来、一日も休んだことはない


朝になれば門を開け、石畳を掃き、橋の落ち葉を集める


噴水を磨き、花壇の手入れをし、夕暮れには門を閉じる


街にはもう誰も住んでいない


市場は風だけが歩き、時計塔は時を数える相手もなく鐘を鳴らし続けている


それでも私は、毎日同じ仕事を繰り返した


命令だからではない


いつか誰かが帰ってくる日、この街が「おかえり」と迎えられるように


そう信じていた


ある朝、小さな足音が聞こえた


振り返ると、一人の旅人が門の前に立っている


驚いた顔で、私を見上げていた


私は胸に手を当て、三百年前と変わらぬ礼をする


「ようこそ」


少しだけ声が震えた


「三百年ぶりのお客様です」


その日、街には久しぶりに人の笑い声が響いた


噴水の水は朝日にきらめき、石畳はどこか誇らしげに光って見えた


三百年続けた仕事は、たった一人を迎えるためだったのかもしれない

そう思うと、長い年月もほんの一日のように感じられた



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