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異世界トンネル管理局【第七迷夢トンネル】

異世界には、人間の知らないトンネルがある。


山を抜けるためではない


世界と世界をつなぐためのトンネルだ


その管理を任されているのが、異世界トンネル管理局である


私の仕事は、毎夜午前二時


「第七迷霧トンネル」の出口の数を数えることだった


入口は一つ


出口も一つ


それが正常


二つ以上あれば、どこか別の世界へ穴が開いている


懐中時計を見ながら歩く


湿った壁


天井から落ちる雫


自分の足音だけが響く


やがて出口が見えた


一つ


……その隣に、もう一つ


私はため息をついた


「またか…」


工具箱から銀色の南京錠を取り出す


鍵穴のない、不思議な南京錠だ


余計な出口の取っ手へ掛けると、出口は音もなく壁へ溶けていった


報告書を書く


『第七迷霧トンネル 出口一つ増加 封鎖完了』


そのとき、壁の向こうから誰かが叩いた


コン、コン、コン


「開けてください!」


若い男の声だった


「助けてください! ここはどこなんです!」


私は返事をしなかった


管理規則、第四条


『封鎖対象となった出口からの呼びかけには、決して応答してはならない』


男は泣きながら叫ぶ


「妻と娘が待ってるんです!」


私は帽子を取り、壁へ向かって一礼した


「申し訳ありません」


そう言って、最後の封印印を押す


声は、ぷつりと消えた


翌朝


管理局の掲示板に、新しい依頼書が貼り出される


『第七迷霧トンネル 昨夜、出口が一つ減少 原因調査のこと』


私は首をかしげた


出口は、元の一つに戻したはずだ


報告書を開く


そこには昨夜の私の署名だけが、きれいに消えていた


代わりに、見覚えのない一行が書き加えられていた


『職員一名 回収済み』

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